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総説
等速泳動法の原理と応用
著者: 坂岸良克1
所属機関: 1埼玉医科大学・生化学
ページ範囲:P.267 - P.272
文献購入ページに移動 日常検査に利用されている電気泳動法はセルロースアセテート膜,カンテンゲル,ポリアクリルアミドゲルなど多孔質の支持体を泳動分離の場としている.このため,液体の中での泳動については親しみが薄いかもしれないが,Tiseliusの泳動法をはじめとして,実はこのほうが理論的には扱いやすいのである.
電気泳動法は電解液中の陰,陽両イオンが直流電気を両極に運ぶ中で荷電粒子を移動させ,その重量と大きさ及び電荷量の差によって粒子(分子)の分離を行う方法である.従来はpHの差による泳動粒子の荷電状態を決めるために電解液を選定し,そのイオン強度については理論的裏付けはなかった.これはこの方法がほとんど,高分子であるタンパク質の分離に利用されていたからであろう.また低分子の物質の分離に応用しようとする試みが高電圧泳動では行われてきたが,少なくとも臨床化学ではペプチドの研究(異常ヘモグロビンのフィンガープリント)にとどまり,目的とする分子と同時に陰,陽両極側に移動するイオン群についての考察はほとんどなされていない.
電気泳動法は電解液中の陰,陽両イオンが直流電気を両極に運ぶ中で荷電粒子を移動させ,その重量と大きさ及び電荷量の差によって粒子(分子)の分離を行う方法である.従来はpHの差による泳動粒子の荷電状態を決めるために電解液を選定し,そのイオン強度については理論的裏付けはなかった.これはこの方法がほとんど,高分子であるタンパク質の分離に利用されていたからであろう.また低分子の物質の分離に応用しようとする試みが高電圧泳動では行われてきたが,少なくとも臨床化学ではペプチドの研究(異常ヘモグロビンのフィンガープリント)にとどまり,目的とする分子と同時に陰,陽両極側に移動するイオン群についての考察はほとんどなされていない.
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