我が国の寄生虫病の激減に伴い,医師ならびに臨床検査技師諸兄の寄生虫病に対する認識及び診断能力が低下しているのは極めて残念なことである.ところが海外旅行が盛んになるにつれて,いわゆる輸入寄生虫病が増加し,早期の診断及び治療を怠ったために不幸な結果を招いた例が年々増加している.
それらのうち,原虫性疾患の代表的な例として,アメーバ赤痢及び熱帯熱マラリアの実例をあげ,更に最近抗免疫剤,抗癌剤の連用により,しばしば誘発され致死率の極めて高いPneumocystis cariniiによるニューモシスチス肺炎の増加が注目されているので,各種染色法による所見の相違を示してみる.