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総説
ヒトの染色体地図
著者: 吉田廸弘1
所属機関: 1北海道大学・理学部附属動物染色体研究施設
ページ範囲:P.29 - P.36
文献購入ページに移動 最近の人類遺伝学の進歩のなかで特筆すべき発展をみているのは遺伝子座位の決定,すなわち染色体地図の作成であろう.言うまでもなく遺伝子座を決めていく方法としての基本的なことは,生物個体の交配を行い,その際の各々の遺伝子の組み合わせを分析し,染色体上における遺伝子の位置を決定していくというものである.ヒトの場合,遺伝様式を調べる方法として,ある特定な変異遺伝子に注目し,それがどのように次の世代に受け継がれているのか,すなわちその遺伝子を継代している家系を数世代にわたって統計的に調べていくという方法がとられている.しかしこのような家系調査にも限界がみられ,例えば,ヒトでは一世代の生存期間が長いこと,またその家系の構成員数が少ない場合もあり,更に遺伝学的分析に必要な交配実験ができないなどの制約があり,したがって個々の染色体における遺伝子座を決めていくことは非常に困難であった.
最近,ヒトを含めた哺乳動物細胞を生体外で取り扱う技法,すなわち個体組織由来の体細胞をバラバラにし,それを試験管内で増殖させうる細胞培養法が進歩してきた.細胞の体外培養法について歴史的にみると決して新しいとは言えないが,1912年Carelがニワトリの胚を培養したことから始まるのであるが,比較的自由に細胞を増殖させ,しかも同一性格の細胞クローンを実験的に取扱えうるようになったのは極く最近のことである.
最近,ヒトを含めた哺乳動物細胞を生体外で取り扱う技法,すなわち個体組織由来の体細胞をバラバラにし,それを試験管内で増殖させうる細胞培養法が進歩してきた.細胞の体外培養法について歴史的にみると決して新しいとは言えないが,1912年Carelがニワトリの胚を培養したことから始まるのであるが,比較的自由に細胞を増殖させ,しかも同一性格の細胞クローンを実験的に取扱えうるようになったのは極く最近のことである.
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