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Ex Laboratorio Clinico・13
先天性TSH単独欠損症の発見
著者: 宮井潔1
所属機関: 1大阪大学・中央臨床検査部
ページ範囲:P.54 - P.60
文献購入ページに移動はじめに
下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が,先天的に欠如している,いわゆる先天性TSH単独欠損症は我々の研究室で初めて発見され,1971年New England Journal of Medicine誌上に発表された1).当初の予想に反して,その後同様な症例の報告がほとんどなく,現在では,まれな疾患とされている.しかし本例は先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の新病型であること,TSH単独欠損症のうち家族性の唯一の例であること,及び他の下垂体ホルモンの一部に分泌の特異性が失われていることなどいろいろな面での意義が深く,1976年の国際内分泌学会でもnewly recognized endocrine diseasesの一つとして取り上げられている2).
下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が,先天的に欠如している,いわゆる先天性TSH単独欠損症は我々の研究室で初めて発見され,1971年New England Journal of Medicine誌上に発表された1).当初の予想に反して,その後同様な症例の報告がほとんどなく,現在では,まれな疾患とされている.しかし本例は先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の新病型であること,TSH単独欠損症のうち家族性の唯一の例であること,及び他の下垂体ホルモンの一部に分泌の特異性が失われていることなどいろいろな面での意義が深く,1976年の国際内分泌学会でもnewly recognized endocrine diseasesの一つとして取り上げられている2).
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