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文献詳細

雑誌文献

臨床検査22巻3号

1978年03月発行

文献概要

総説

α-フェトプロテイン

著者: 平井秀松1

所属機関: 1北海道大学・第1生化学

ページ範囲:P.263 - P.270

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 胎生時代に合成されるが,出生後はその合成が停止するか,ないしは著しく低下するタンパクを胎児性タンパクと呼ぶ.しかし,このうち何種かのタンパクは成体細胞の癌化に伴ってその合成が再開される.このような場合,このタンパクを癌胎児性タンパクと呼ぶ.Carcinoembryonic pro-teinsがその欧文名であるがcarcinofetal, onco-fetalなどの文字も使用される.
 表1に主要な癌胎児性タンパクを掲げた.このうちALD,PKは正常肝細胞が肝型アイソザイムを合成するのに比し,ヘパトーマ細胞が筋型アイソザイムを合成するために癌胎児性タンパクの範疇に入れておいたが厳密な意味ではない.表1のALPはRegan酵素と言われ,胎盤に特異的な酵素であるが,一方癌でその合成がみられることから癌-胎盤性ALPである.α-fetoprotein(AFP)は癌胎児性タンパクの最も著明なもので"癌胎児性"の概念を打ち立てる契機となったタンパクである.α-グロブリン性の血清タンパクであり,その物理化学的性状はアルブミンに著しく近い.AFPは胎生初期の胎児では主として卵黄嚢で合成されるが,分化が進むにつれ卵黄嚢は消失してゆき,それに代わって肝が合成場所の主体となる,AFPは肝癌(原発性肝癌,primary liver cancer,またはヘパトーマ)及び卵黄嚢腫に高度に特異的に出現するが,胎生期の合成場所と一致している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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