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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査22巻5号

1978年05月発行

雑誌目次

カラーグラフ 皮膚の真菌症・Ⅷ

白癬 Ⅱ

赤木 正志

pp.468-469

"ミズムシ"と呼ばれ親しまれている白癬ほど普遍的な真菌症はあるまい.皮膚糸状菌と総称される一群のmoldによって起こる病変であり,多くは浅在性病変にとどまるが,その臨床症状はかなり多彩であるので湿疹その他の疾患と混同されることが多い.白癬菌は本来ヒト,動物の寄生菌として研究が始められた菌群であるが,自然界における生態については今日なお不分明な点のあることはやや意外である.また菌種の分類のような基本的な菌学的問題にしても深く立ち入って考えてみるとかなり難解な点が多い.

カラーグラフ 

解説

赤木 正志

pp.470

 白癬はミズムシ,タムシ,インキンタムシ,シラクモなど多くの俗称を持っているが,このような表現には民族のいかんにかかわらず人間の哀歓を取り混ぜた感情が込められている.英語の一般名はtineaであるがring-worm (輪・虫)という別名があり,足のミズムシはathlete's foot(運動家の足)と言われる.頑癬(図2)を意味するjockey itch (騎手のカイカイ)もサドルの当たる陰股部の白癬の特徴を言い得て妙である.韓国語では무〓(ム・ジョム.虫・斑)と言われるが,どこの国でもきらいなものは虫のようである.いずれにしてもこれらの俗称には白癬の特徴をよく表現しているものが多い.

 図1は中心性治癒を特徴とする体部白癬である.通常乳幼児の白癬はまれであるが,このような患児の周辺には母親のような成人の白癬が存在するものである.図2は頑癬である.一見湿疹様を呈するが症例によっては中心性治癒がいっそう明確なものもあり,また潮紅を伴わない落屑型のものもある.掌蹠に見られる汗疱状白癬の膿疱水疱や爪の白癬では,またそれぞれ異なった臨床像を呈するものである.

技術解説

エンザイムイムノアッセイ

石川 榮治

pp.471-478

 抗原と抗体との反応は一般に特異性が高く,しかも抗原と抗体の濃度が低くても両者が結合する.この抗原抗体反応を何らかの方法で検出,定量することができれば,抗原あるいは抗体の定量ができる.赤血球凝集反応,免疫拡散(イムノプレート)などは臨床検査で既によく使われているものである.レーザーの散乱しやすさを利用して,抗原抗体反応を感度良く検出するレーザーネフェロメトリーは最近臨床検査へ導入され始めたものである.

 臨床検査で使われる定量法のなかにはその感度がそれほど高くなくてもよいものと,できるだけ感度が高いほうが良いものとある.赤血球凝集反応や免疫拡散法は便利ではあるが,それほど感度が高いわけではない.レーザーネフェロメトリーはかなりの感度ではあるけれども,ラジオイムノアッセイには及ばない.ラジオイムノアッセイでは放射能の検出により感度良く,抗原抗体反応を定量するので,現在最も感度の高い方法である.この方法も現在では臨床検査に頻繁に利用されている.しかし放射能は,何と言っても人体にとって危険なものである.それだけに利用についても規制が厳しいのは当然である.使用場所も認可が必要であれば,使用者も一定の資格が必要である.そのうえ,測定キットも測定機器も高価である.アイソトープとして半減期の短いヨードが使われることが多い.これも不便である.

酵素による脂質の定量

川出 真坂

pp.479-486

 脂質は水に不溶の物質であるが,生体内ではタンパクと結合して巨大分子を形成し,体液中に溶存する.ゆえにその定量には,有機溶媒による抽出,精製の操作を経て測定するのが従来の常道であった.ところが最近酵素を試薬として脂質を定量する方法が開発され,トリグリセライド,コレステロール,更にリン脂質の定量にも酵素法が出現した.酵素法の利点はその簡便性にあり,血清と単一試薬を混ぜるだけで脂質の定量ができるのである.かくて有機溶媒による抽出,精製また強酸の使用などは不必要となった.多数検体を処理する日常検査にとり,これは一大福音であることは何人も否定できないであろう.ゆえに酵素法は急速に普及し,各試薬メーカーは競ってその製品化を急ぎ,コレステロールについては現在10種以上の試薬キットが市販されている.本稿は酵素法の技術解説を依頼されたものであるが,酵素法そのものの技術は極めて簡便で特別の解説を要しない.しかしこの簡便な手技の背後に潜む問題点は,必ずしも簡単なものではない.ゆえに本稿では測定値を左右する要因に重点をおいて解説することにより責を果たさせていただきたい.

固定化酵素による臨床分析

遠藤 治郎

pp.487-493

 臨床分析における酵素の利用は幾つかの利点がある.酵素は定量しようとする物質に対し反応特異性が高く,かつ温和な条件で反応を遂行させうる.更に数種の酵素反応を組み合わせて検出しやすい物質に転換させ,その量を基質濃度と比例させて定量することもできる1).ここで言う酵素の利用は言うまでもなく酵素の持つ触媒作用を利用したいわけであるから,その目的によりかなうように酵素に修飾を加えたものが固定化酵素(immobilized enzyme)である.固定化酵素は,何らかの方法で酵素同志を結合させたり,不溶性支持体に結合させたり,支持体の網目または膜の中に閉じ込めたりしているが,しかも触媒能力を持っている一種の固型触媒のような状態にある酵素のことである.そうした性質を持たせることによって,連続酵素反応を行わせることができ,また反応終了後は容易に回収して再利用できる状態の酵素と言うこともできる2,3)

 固定化酵素は,適当な形に成形できれば自動分析計に組み入れることができる.そのシステムは単純化され小型化されるであろう,また酵素試薬の調整・保存に伴う諸問題が軽減される.本稿では最初に酵素の固定化について触れ,次いで臨床分析に使用できる固定化酵素を組み入れた装置の構成について述べてみたい.

総説

合成基質と凝固線溶検査

土方 明子 , 岡本 彰祐

pp.495-499

 血液凝固線溶系諸因子の活性の測定には,従来,凝固系あるいは線溶系の最終過程であるフィブリン塊の生成あるいは溶解を示標とする間接的測定法が広く用いられてきた.すなわち,種々の凝固時間測定法及びフィブリン溶解時間ないしフィブリン平板溶解面積測定法である.

 これらの方法は簡便であり,かつ自然基質を用いるため,生体内での活性を忠実に反映すると考えられる.しかし,フィブリン塊の生成や溶解の判定がややもすると主観的になりやすいこと,あくまで間接的な測定法であるため,反応の速度論的な解析には利用し難いこと,かつ中間で活性化された因子の活性を把握することが難しいこと,などの難点がある.

臨床検査の問題点・102

検査室の排気・排水問題

白戸 四郎 , 橋口 雅輝 , 鈴木 節子

pp.500-506

環境汚染問題の一つとして,臨床検査室からの排気・排水は社会的にも注視されつつある.今月は,横須賀共済病院中央検査科での改善体験の話を軸に,臨床検査室内外の汚染防止策を検討する.(カットは同病院の病理検査室の換気室)

検査と疾患—その動きと考え方・17

重症筋無力症

木下 真男

pp.507-513

 症例 Y.H.29歳,女性,会社勤務.

 主訴 複視,嚥下障害,言語障害.

Ex Laboratorio Clinico・17

ウリカーゼ・カタラーゼ法の創製

影山 信雄

pp.514-519

忘れられない日

 1970年1月16日.この日は私にとって生涯忘れられない日となった.かねてからご批判を賜わるようにお願いしていた尿酸の測定法1)について,虎の門病院臨床化学検査科部長北村元仕先生より"ウリカーゼ・カタラーゼ系による尿酸測定法は世界でも初めてのものかもしれない.ハンチ反応より感度の高いクロモトロープ酸などで微量化することができないか.1mlの血清量は時代遅れである.除タンパクしないで反応させることはできないか.これができれば微量化へのアプローチにもなるだろう"とのご指導をいただき,同病院生化学科中山年正先生からも便箋3枚にびっしりのご指導が同封されており,更に"知る範囲内での文献調査では,この原理による方法は見当たらない.もう一度Chemical Abstractなどで調べたうえで英語の論文にしたらどうか"とのご鞭撻をいただいた日である.両先生からのお手紙は今も大切に保存しているが,正直言ってこのときの気持ちは何と表現してよいか分からなかった.このような過大な評価をしていただいたことは無上の喜びであったが,その反面,これは大変なことになったぞ,という不安が入り交じっていたことも事実であったし,ウリカーゼ・カタラーゼ法が,これほど問題になるとは思ってもいなかったからである.ご批判を得ることを勧めてくださった稲生富三技師長からは"そうれ,みよ"と言われ,ただ頭をかくのみであった.

座談会

酵素法は果たして特異的か

仁科 甫啓 , 溝口 香代子 , 山本 一夫 , 野間 昭夫 , 北村 元仕

pp.520-528

 数年前には存在しなかった「酵素法」が爆発的に普及し,今や検査室の日常語となってしまった.ここでは酵素法を"酵素を試薬として用いる物質の測定法"と定義して,その急速な発展の背景,実際上の問題点を語り合う.

新しい超音波検査法・5

心臓断層—特にセクター電子高速断層法を中心に

尾本 良三

pp.529-533

I.各種の超音波循環器検査法における心臓断層法の位置づけ

 最近の超音波による心臓領域への診断的応用の発展は日覚ましいものがあり,その普及も急速に行われている.本稿では"最も実用的な"という立場から,超音波心臓断層法の現況とその実際について述べさせていただくことにする.

 さて,超音波循環器検査法は,一般的に原理,方法,装置から分けて以下のようなアプローチが実用となっている.

臨床化学分析談話会より・56

第4回冬期セミナー

野本 昭三

pp.534

 臨床化学分析談話会の主催による冬期セミナーも,の幌,蔵王,新潟に続いて第4回目が1978年2月12日から14日まで,長野県の乗鞍高原で開催された.前年暮れから新年にかけてほとんど雪が降らず,その後も例年にない暖冬で,事務局の一員としては毎日雪ごいをしたい気持で準備作業を続けていたが,1月下旬から少しずつ雪が積もり始め,2月1日ころにはついに150cmに達し,世話係の信州大中検一同もようやくほっとした.ちょうどセミナーが始まる前日に当たる11日が祭日であったために,この日朝7時に宿舎入りして宿の主をびっくりさせた夜行列車組と,夕方最終便で着かれた北海道からの4名を合わせて合計31名が11日の夕食後"あづみ荘"のセミナールームに集まって,期せずして前夜祭と言える自由形式のセミナーが開かれた.この日の司会は,ごく自然に,冬期セミナーの生みの親である佐々木禎一助教授にお願いする形になり,冬期セミナーにふさわしい有意義な話題が続々と引き出された.

 翌12日,朝の気温零下7℃,晴れ時々曇りでこのセミナーにふさわしい天候に恵まれ,午後3時のセミナー開始までに,特別講演のためにおいでいただいた右田俊介教授をはじめとして77名があづみ荘のセミナールームに参集した.流感などやむを得ない事情で欠席されたのは,特別講演をお願いしてあった松田重三先生と,第2日目の司会をお願してあった丹羽正治教授他1名であった.

研究

血液成分の生理的変動第1報—好酸球及び白血球の10年間の追跡観察

柳田 美子 , 北川 富雄 , 千葉 裕典 , 山本 和子 , 塩原 正一 , 今堀 彰

pp.535-538

はじめに

 血液検査は臨床検査として古くからなじみの深いものである.現在では集団を対象とした健康診断においても広く実施されるようになってきた.各種血液検査測定値は健常時においても種々の要因により変動するので,集団検診における血液検査結果の評価に際しては集団の正常値の分布を把握しておくとともに,個人の変動幅についても十分認識しておくことが望ましい.著者らは被検者個々について長年月にわたり血圧,血液検査,尿検査などを行いその変動を観察した.本報は副腎皮質機能と関係が深いと言われている1)好酸球を中心に総白血球数(以後,白血球)と併せて検討を行った.

編集者への手紙

骨の迅速脱灰法の改良

小畠 勝己 , 神原 豊

pp.540-541

 骨の脱灰法については一般に硝酸,ギ酸,三塩化酢酸などの酸類による方法が主であるが,これとともに電気脱灰法やイオン交換樹脂法なども行われている.これらの方法はいずれも,それぞれに長所,短所があり,材料の大きさや検査目的に応じて脱灰法を選択して用いられているようである.

 組織片を脱灰する場合,その標本の良否は固定方法,脱灰に用いる溶液,脱灰時間,濃度,温度,更に中和方法などいろんな条件によって影響を受ける.

パパニコロウ染色における赤血球の染色性について/安松氏の"手紙"に対する意見 フリーアクセス

安松 弘光 , 山田 喬

pp.542-543

 パパニコロウ染色(以下Pap染色)において,赤血球がしばしば緑色に染まることを経験するが,その原因についてはまだ十分解明されていないようである.

 Pap染色の原法では,核染色のためにハリスのヘマトキシリンが退行性染色として使用されているため,塩酸水による分別操作が必要である.しかし,我々が用いているPap染色法では,通常マイヤーのヘマトキシリンが使用されているので,分別操作を必要としない.そして,この方法を用いる限りは赤血球が緑色に染色される現象はほとんど見られないことに気が付いた.そこで我々はPap染色における赤血球の緑色染色の傾向は分別操作に使用される塩酸水に関係があるのではないかと考え,検討を行った.

RaBA-3010による血清カリウムの測定の試み フリーアクセス

菊池 啓記

pp.544-545

 血清カリウムの測定は,病院などにおいては主に炎光光度法により測定されている.しかし,診療所など小規模施設においてはどうであろうか.おそらく炎光光度計を購入して血清カリウムを測定することは,価格や技術的な面などで難しいのが現状ではないかと思われる.今回,私は簡易化学分析器RaBA−3010でユニテストカリウム(テトラフェニルボロン比濁法,アムコ製)を用いて,血清カリウムの簡易測定を試みたので報告します.

新しいキットの紹介

α-フェトプロテイン50‘栄研’による血中α-フェトプロテイン測定の検討

高木 康史

pp.546-548

はじめに

 胎児血清タンパクであるα-フェトプロテイン(α-feto-protein以下AFP)が肝癌移植マウスの血清中に出現することを1963年ソ連のAbelevら1)が発見し,Tata-rinovが4名の原発性肝細胞癌患者の血清中にAFPの存在を報告して以来,ゲル内免疫拡散法によって多数の追試研究報告が発表され,血清AFP定量が原発性肝癌及びその病状経過,治療効果の判定に役立つことが立証された.しかしゲル内免疫拡散法では約30%のAFP陰性症例があり,しかも陽性症例のほとんどが末期癌であった.そのため検出感度がより鋭敏な測定法の開発が要望された.とりわけ特異性,感度,定量性に優れたラジオイムノアッセイ2,3)が開発されるに及んで,原発性肝癌のみならず,小児科あるいは産科領域における各種疾患の診断にも広く応用される診断法になってきている.

 今回著者は,新製品α-フェトプロテイン‘栄研’を使用して若干の基礎的検討,ならびに他社市販製品との比較について若干の知見を得たので報告する.

新しい機器の紹介

新しい血液血清分離材の試用経験—三菱レイヨン製血液分離材

林 康之 , 佐藤 陽子 , 山崎 栄子

pp.549-550

はじめに

 血清検査は各種疾患の診断,経過観察に広く利用され,臨床検査として重要な地位を占めている.血清の分析技術は近年著しく進歩し,精度の向上とともに分析速度の向上が可能になり,自動化により,1時間当たり60〜140検体の分析が行われるようになった.一方血液から血清を分離する過程は,採血後遠心分離を行い,上清の血清をデカンテーションあるいはピペットで吸引するなど,目立った技術的な進歩はない.分析速度,精度の向上は血清分離方法の技術的な向上,能率の促進は検査の自動化に伴う現在の大きな課題である.

 今回我々は三菱レイヨンK.K.により開発された血液血清分離材の試用を機会に,使用状況と分析成績をまとめたので以下に報告する.

血清分離用採血管"バキュティナーSST"の評価

小幡 雅祥 , 岩本 敬子 , 村井 哲夫

pp.551-554

はじめに

 血清を使う臨床検査では,血清分離操作は不可欠の作業であり,このために要する時間と労力を省力化できれば検査業務の改善に寄与するところは大きい.通常血清は,血液を採取後一定時間放置凝固させ,遠心分離してその上清を保存用試験管に移し換えて採取する.この際フィブリン塊や血球の混入,溶血だけでなく,凝血塊と血清の長時間接触によっても血清成分の変化することが知られている1,2).血清分離操作を簡略化するとともに,これらの問題を解決する目的でプラスチック粒を利用する方法や,半透過性ディスクを用いるもの,シリコンポリマーを用いる方法などが考案されている.

 我々は,真空採血管とシリコンポリマーが組み合わされ,効率よく採血及び血清分離と隔離ができるよう考案された血清分離用採血管"バキュティナーSST"(Vac-cutainer SST,Becton-Dickinson製,以下"SST")を使用する機会を得たので,本試験管につき従来の手法により得られた検体を対照として,①血清分離操作の比較,②測定値の比較,③検体保存用コンテナーとしての効果を検討した.その成績を報告する.

Laboratory Instrumentation

酵素電極

高阪 彰

pp.556-559

 酵素固定化の技術の進展に伴って,固定化酵素を用いた臨床検査が脚光を浴びているが,特に固定化酵素と電極を組み合わせた酵素電極(生物電気化学センサー)の進展には目覚ましいものがある.電極反応はポテンシオメトリーとアンペロメトリーに大別される.酵素反応によってアンモニウムイオンやシアンイオンなどのイオンが生成あるいは消失する場合には,イオン電極によって検知することができ,この方式をポテンシオメトリーと言うが,共存する類似イオンの影響を受けやすいなど実用的には問題も多い.酵素反応によって生成あるいは消費されたO2を電極反応によって検知したり,H2O2の酸化電流によってH2O2を直接電気化学的に検出するアンペロメトリーは応答時間が比較的短いこと,試料と電極が直接接することがないなどの利点を有する.

 表に近着外国誌に紹介された酵素電極を用いた分析装置の市販品一覧表を示すが1),これらのうち現在我が国で入手可能な製品はYSI 23A型グルコースアナライザーのみであるので,今回はこのグルコースアナライザーを中心にその特徴を解説したい.なお国産品に関しては現在多くの施設や会社で開発途上であるが,味の素K.K.より腎透析中のモニターを目的とした尿素窒素分析計が発売されている.

検査室の用語事典

心機能検査

椎名 晋一

pp.561

47) Extrasystole;期外収縮

洞結節以外の異所性起源により発生する心拍を言う.期待される心拍の時期より早く起こるので早期収縮(premature beats→84)とも言う.しかし,期外収縮に異所性起源という意味で逸脱(escape (d) beats→45)を含める場合がある.

内分泌検査

屋形 稔

pp.562

40) Double antibody method;二(重)抗体法

RIA法で最も広く用いられるB (抗体結合)とF (遊離)の分離法.第1抗体とは目的のホルモンに対する抗体で,第2抗体とは第1抗体の抗体タンパクに対する抗体.標識抗原と第2抗体との反応産物であるBを第2抗体をキャリアータンパクとともに加えることで沈降物を得る方法で,遠沈または濾過により沈降物をカウントしてB値を得る.

質疑応答

臨床化学 臨床化学検査技術の標準化

S生 , 中 甫

pp.563-565

 〔問〕検査技術は日進月歩していますが,測定法によって共存成分の影響が異なったりするために,正確度の差が出るのが普通だと言われます.これは私たちが検査法を採用するに当たって最も苦慮することの一つですが,国際的には方法の標準化についてどのような考え方の進展があるのかお教えください.Definitive MethodとかReference Methodとか言われるものの定義も含めて.

臨床化学 ビウレット法での混濁

S生 , 降矢 熒

pp.565-566

 〔問〕ビウレット法で総タンパクを測定する際,検体に試薬を入れると混濁する場合がありますがなぜでしょうか.

血液 アンチトロンビンとは

S生 , 吉田 信彦

pp.567-569

 〔問〕アンチトロンビン(Anti thrombin)とはどんなものですか.分類とその作用についてお教えください.

免疫血清 β-リポタンパク測定

T生 , 富田 仁

pp.570-571

 〔問〕β-リポタンパク測定に免疫沈降法(ヤトロン製)を使っておりますが,値が8mm近くなっても測定できるものと,4mmくらいで浮かんで測定できないものとがあります.浮かぶものについては生食水で血清を2倍にして測定していますが,どうしてこうなるのでしょうか.また2倍にして測定するものは意義があるのでしょうか.

病理 Verhoeff染色の脱色原理

K生 , 河又 國士

pp.571-573

 〔問〕Verhoeffの弾性線維染色でヘマトキシリン,塩化第二鉄,ルゴール液を加えて染色液を作りますが,この塩化第二鉄液の中に長く入れておくと,弾力線維も完全に脱色するのはなぜでしょうか.

臨床生理 新生児の心電図検査

O生 , 松尾 準雄 , 藤川 淳策

pp.574

 〔問〕新生児心電図検査の手技上のコツをお教えください.

診断学 痛風結節内の尿酸証明法

K生 , 御巫 清允

pp.575-576

 〔問〕図説マクロ病理学(東大病理学教室訳,医学書院)209ページ,痛風関節炎解説の中にあるmure-xid反応について,①硝酸の濃度,量,②アンモニアの濃度,量,③熱するのはどの程度か,についてお教えください.なお痛風結節からの物質とありますが,関節液でも反応を知ることができるのでしょうか.

雑件 in vitroアイソトープ検査の担当部署は

T生 , 入江 実

pp.576

 〔問〕ラジオイムノアッセイなどアイソトープの検査がどんどん進んでおり,臨床検査の日常業務となりつつありますが,どこの部署で,どんな条件の技師が担当するのが適当でしょうか.法的な解釈だけでなく,技術的見地また医療という立場からもどうあるべきかを教えてください.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

今月の特集1 日常検査からみえる病態—心電図検査編
今月の特集2 smartに実践する検体採取

60巻2号(2016年2月発行)

今月の特集1 深く知ろう! 血栓止血検査
今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

今月の特集1 移植医療を支える臨床検査
今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

今月の特集1 ウイルス性肝炎をまとめて学ぶ
今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ

59巻10号(2015年10月発行)

今月の特集1 見逃してはならない寄生虫疾患
今月の特集2 MDS/MPNを知ろう

59巻9号(2015年9月発行)

今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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