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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査22巻7号

1978年07月発行

雑誌目次

カラーグラフ

骨髄腫細胞の様々

河野 均也 , 熊坂 一成 , 土屋 達行

pp.700-701

 骨髄腫とは免疫グロブリンを産生する形質細胞が骨髄内で腫瘍性に増殖する病態と定義される.したがって,骨髄像の検索がその診断に重要な手掛かりを与えるものであることは言うまでもない.骨髄腫に際しては著しい形質細胞系細胞の増殖が認められるとともに,形態学的には成熟形質細胞の特徴を備えたものから,強い異型性を示すものまで様々なものが認められる.確かに多数の異型性の強い形質細胞系細胞の存在は,骨髄腫を強く示唆する所見と言える.しかしながら骨髄像のみで骨髄腫の診断を下せない場合の多いことも事実であり,骨髄標本の観察に当たっては常に種々な臨床検査所見を対比しながら観察したいものである.

解説

河野 均也

pp.702

 骨髄腫(myeloma)は免疫グロブリンを産生する形質細胞系細胞の異常な腫瘍性増殖を,主として骨髄中に多発性に認めるところから,従来より多発性骨髄腫(mul-tiple myeloma)の名称が広く用いられてきた.しかしながら最近ではリンパ節や扁桃,消化管あるいは気道粘膜などのリンパ装置をはじめ,髄外性に形質細胞系細胞の増殖を認めたり,あるいは形質細胞性白血病と言われるように,末梢血液中にまで形質細胞系細胞の出現を認める症例も数多く報告されているところから,骨髄腫というよりも形質細胞腫(plasmocytoma)の名称のほうがより適切であると思われる.また更に形質細胞の由来をたどれば,Bリンパ球から分化・成熟することがほほ確実視されている.すなわち,形質細胞腫は原発性マクログロブリン血症(Waldenström)を含めて,免疫グロブリンを産生するまでに分化したBリンパ球系細胞の腫瘍性増殖であるという見方も成り立つ,したがって骨髄穿刺材料あるいは髄外増殖巣の細胞形態学的所見が極めて重要な診断根拠となることは言うまでもない.

 図1の成熟した正常の形質細胞は非常に特徴的な細胞形態を示す.すなわち,直径9〜20μmの円形ないしは卵円形の細胞で,強く好塩基性に染まる比較的豊富な細胞質を持ち,核は偏在し,核の一側には明るく抜けて見えるゴルジ野からなる核周明庭が認められる.

技術解説

抗血清の作り方

臼井 美津子 , 菅野 恒博 , 松橋 直

pp.703-712

 ある抗原を注射された動物は,生体防御の一環として種々の免疫反応をもって応答する.投与された抗原に対して特異的な抗体を産生するのもその一つである.そして私どもは,動物が産生してくれた抗体を利用して,種々の物質の検出,同定及び定量を行い,あるいは特定の細胞を殺したり機能を抑えたりして免疫応答の基礎を探っている.これらの実験において最も重要なことは抗血清の特異性であって,どのようにして特異性の高い抗体を動物に作らせるかという点が,抗血清作りの課題である.

 抗原による刺激から抗体を産生するに至るまでには,種々の細胞,細胞からの液性因子などの関与する複雑な反応が行われるが,それらの機序は生体というblack boxの中に秘められていて,その全容は明らかにされていない.投与する抗原の量,性状,形態,投与の経路,回数,採血までの期間等々,種々の因子により結果はかなり影響されているはずである.しかしこれらに関する知見が乏しいので,特にウサギ,ヤギなどの中動物では系統的な基礎実験を行うことの困難さもあって,この条件で行うのが最も良いと確信を持てるようにはなっていない.多くの先人たちの経験の集積のうえに抗原を注射し,採血をしている現状である.

凝固因子の免疫学的測定法

浅井 紀一

pp.713-721

 血液凝固因子はタンパクを主とする高分子物質の特性として免疫原性を有し良き抗原であるので,それらの非経口的投与により,動物に抗体を生成せしめるほか,ヒトにも輸血抗体や自然抗体を発生せしめる.これらの異種・同種抗体はタンパク抗原の常として沈降素を主とするものであり,したがって沈降反応による各種測定法や,その生物学的活性阻止能の検出法による凝固因子の免疫学的測定が可能である.

 凝固因子の抗血清が研究上使用されたのは1950年代後半で,Halickら(1956)やSchwickら(1959)のプロトロンビン抗体,Richard (1956),Shanbergら(1957)の第Ⅷ因子抗体の実験に始まり,他方臨床例ではFantle (1956)の血友病Bにおける第Ⅸ因子抗体の発見と,それを用いた中和法による後の分子異常症の検出,Ménaché(1963)の異常フィブリノゲン血症Paris Iの抗フィブリノゲン血清による免疫学的裏付けに始まる.しかし,これらの初期の抗血清は凝固因子精製の技術的困難さから,単一因子に対する特異性に優れず,成績の解釈が困難なことが多かった.

第6回樫田賞受賞論文・2

ラジオイムノアッセイによるHBs抗原検出と確認試験について

後藤 庄助

pp.723-728

 HBs抗原の検査は輸血後肝炎及び肝疾患の診断と予後の判定上,また院内感染防止対策上重要な検査である.

 現在検査室で行われているHBs抗原の検出法の中で,最も感度が高いとされているラジオイムノアッセイ法には二つの問題点が提起されている.その一つは特異性を確認することであり,もう一つはカットオフ値に近い値の陽性,陰性の判定である.しかし,その特異性を確認する方法は各検査室独自の方法によって実施されている現状である.

総説

感染防御機構

野本 亀久雄

pp.729-733

微生物の侵入に対する防御機構の成り立ち

 皮膚,粘膜などの機械的・機能的な壁や新しく侵入してきた病原菌の増殖に対する常在微生物叢によるコントロールなどは,第1の防衛線を形造っている.このような体外からの侵入に対する防衛線が破れると,体内で異物排除機構が働くようになる.まず,多核白血球,特に好中球が分から時間の単位で侵入部位へ集まり,食作用によって微生物を処理しようとする.この好中球のレベルで処理が完了するものには,常在微生物的なものが多いと考えられる.好中球で処理が完了しないときには,マクロファージへと処理が受け渡される.微生物の侵入している部位へ,免疫とかかわりなくマクロファージが集合するのは24〜96時間にかけてである.マクロファージへ受け渡されるような異物は生体に長くとどまる性格を持っているので,多くの場合免疫へとバトンタッチされる.

 マクロファージに取り込まれた異物は抗原刺激としてリンパ球へ受け渡され,免疫応答の引き金を引く.リンパ球の分裂と分化を経て,体液性免疫の担い手である抗体分子や,細胞性免疫の担い手である感作リンパ球の産生される過程が免疫応答と呼ばれる,この過程に数日から数週を要する.産生された抗体は好中球やマクロファージによる微生物の取り込みを促進し(オプソニン作用),感作リンパ球は感染部位へマクロファージを集合させ更に活性化される(活性化マクロファージの出現).

臨床検査の問題点・104

凝固自動測定装置

鈴木 弘文 , 馬場 百合子

pp.734-740

 たち遅れていた血液凝固検査の完全自動化は,現在徐々に日常業務に入りつつあり,データの精度向上に貢献している.よく知られている大型機種のほかに従来からの小型も含め,その性能・特徴を明らかにし,どう使い分けたらよいか,また機械の将来性について検討する(カットはCOAG-A-MATE).

検査と疾患—その動きと考え方・19

過粘稠度症候群(Hyperviscosity Syndrome)

河合 忠

pp.741-746

 症例 61歳,男.

 臨床診断 IgG型多発性骨髄腫.

Ex Laboratorio Clinico・19

私どものフェリチン研究

森 亘

pp.747-752

はじめに

 ロンドンから東北に向かって汽車でおよそ2時間,ケンブリッジの町があった.当時の人口約十余万,町全体が大学のようなもので,至るところに古風な建物,そして,それぞれに由緒あるカレッジの数も多い.発祥は日本の歴史で言えば平家の時代とか.長い変遷を偲ばせる古めかしさと,その間に散見される殊の外の近代性がうまく調和している.並び称される学都,オックスフォードは町の経済的繁栄を求めて企業を誘致したのに対し,ここは頑としてそれを避けてきたという.その結果であろうか,前者がしだいにすすけていくのに対して後者はいつまでも緑である.ケンブリッジに一度学んだ人間は,その学問に対する郷愁とともにその町に対する愛着を忘れることができない.

臨床化学分析談話会より・58

臨床検査技師の卒後教育の試み—臨床化学基礎講座(第1回,第I期)を終わって

溝口 香代子

pp.753

 臨床化学分析談話会は日本臨床化学会の下部組織として,各支部で例会,セミナーの開催など独自の教育活動を行っている.この支部活動のほかに,従来から臨床検査技師の組織的な卒後教育が要望されてきた.卒後教育としては,①新人〜2,3年生を対象にしたもの,②中堅層を対象とするもの,③指導者層を対象にするもの,などの段階が考えられるが,今回は日常検査の中心的担い手であり,次期指導者である②の中堅層(臨床化学経験4年以上)を対象とした臨床化学基礎講座を企画した.講座は全Ⅲ期より構成され,各期10回のシリーズとし,第Ⅰ期は酵素を中心としたシリーズ,第Ⅱ期は分析技術,第Ⅲ期は各論で,臨床評価を含めた内容とする予定である.

 第Ⅰ期は1978.1.14〜3.25の毎土曜日,慶大医学部で開講された.各回の講義内容の要約は次のようなものであった.

座談会

検査センターの現状と将来

木下 満洲夫 , 佐藤 誠也 , 守屋 美喜雄 , 北村 元仕

pp.754-761

 検査センターは,検査の需要拡大と自動化検査の発達で,全国で約800を数えるまでになった.検査設備を持たない医院にとって大きな存在の検査センターだが,大資本の参加により"検査の大量生産"が進むなかで肝心の精度は確かなのだろうか.現在最も問題視されている検査料金のことを背景に,どうしたら健全なデータが臨床にフィードバックされるか,関係者に検討していただく.

アメリカの検査センター見聞記

田中 聖英

pp.761-763

 昨年(1977年)8月会社側の好意により家族でアメリカ,カナダを旅行した.私自身いったいアメリカの検査センターは大中小の規模なりにどんな姿勢で,またどんなシステムで運営されているのだろうかと興味を持っていたので,せっかくアメリカまで行くことになったこの機会に,典型的なセンターを幾つか見学してこようと企画した,今まで多くの先生方が大学病院,大病院の中検を中心に見学されいろいろ報告されてきているが,私は一民間検査センターの企業人としての立場から,民間検査センターの現状を紹介してみたいと思う.

 アメリカにはいわゆる登録検査施設はおよそ5,000はあると言われている.登録(license)も市,州,特殊協会(全国的)と段階がある.いずれにしてもM.D.(病理学者)がいなければオープンできないのは日本と同じようである.さてアメリカには大手の検査センターとしてはBio Scienceチェーン,Damonチェーン,Roscheチェーンなどがあり,これらはそれぞれ独立したラボ形体で,資本系列がチェーンになっているセンターである.また別のセントラル方式としてMetpathがある.今回はチェーン方式として代表的なDamon Lab.の一つであるシカゴ市内にあるMason-Barron Lab.と,セントラル方式の前記Metpath Lab.を中心に紹介してみたい.

新しい末梢脈管機能検査法・1【新連載】

末梢血管の生理

加藤 政孝

pp.764-768

 循環系は,おおよそ血液を駆出する動力源である心臓と,駆出された血液が流れる血管とから成っている.

 血管系は,左心室から拍出された血液が大動脈を流れ,その分枝した動脈,細動脈,更に毛細管を経て,これらの流出血液が右心房へもどる細静脈,静脈,大静脈から成る閉鎖管系である.生体のあらゆる臓器及び組織には血管が分布し,全身いたるところ血管のない部位はない.ところで,この血管系のうちどの部位から末梢を末梢血管と称するかについては,特に決まった定義はないようであるが,血管の構造及び機能の面から,動脈系においては,主として中膜の弾性組織が減少し1,2),比内腔筋量が増加する2,3),いわゆる弾性動脈から筋性動脈に移行するあたりの部位──もちろんこの移行部が画然としているわけではないが──以下を末梢血管と呼ぶべきであろう.具体的には四肢における上腕動脈,股動脈以下が末梢血管である.この意味では冠血管系,脳血管系,腎血管系,腹部内臓血管系,筋血管系及び肺血管系も末梢血管であるが,これらの血管系は特殊領域の循環として,それぞれ別に取り扱われるのが慣習になっているので,ここでは四肢の末梢血管に限局することにする.

研究

パンクレオザイミン—セクレチン刺激により採取された胆汁膵液内の寄生虫ならびに真菌

土井 久平 , 藤森 勲 , 一木 美智子 , 斉藤 辰夫 , 絹村 厚幸 , 岡本 一也 , 室久 敏三郎 , 武藤 良弘 , 津根 境 , 高見 謙一郎 , 広岡 大司 , 栗田 雅史 , 山田 喬

pp.769-772

はじめに

 パンクレオザイミン—セクレチンテスト(以下PSテストと略す)は膵外分泌機能の診断に欠くことのできない検査法でちるが,同時に採取された十二指腸液の細胞診(以下PS細胞診と呼ぶ)が有用であることは既に多くの報告がある.特に膵頭部領域の癌の早期診断に役立つことを,我々は発表した.

 このPS細胞診の検索の際に随伴する各種の寄生虫ならびに真菌を発見した.その形態を示し,その発見が治療の実際に役立つことを強調したい.

カミソリ刃を用いた出血時間の測定法

本多 信治 , 鈴木 孝雄 , 茂田 士郎

pp.773-776

緒言

 出血時間の測定は,出血性素因検査の一つとして止血機構の異常を知るために重要である.現在我が国では,手技的にも比較的簡単なDuke法が日常の出血性素因検査法として広く行われている.しかしDuke法による出血時間の測定は,耳朶皮膚を穿刺して毛細血管に損傷を与え,湧出する血液が自然に止血するまでの時間を測定するために,手技的な問題として耳朶穿刺に使用する器具の相違,耳朶穿刺の深さ,特に皮膚穿刺に用いた器具刃のの鋭利さの程度,すなわち"切れ味"が出血時間の長短に大きな影響を与えると思われる.

 著者らは,現在感染防止のために普及している市販ランセット(ディスポーザブル)に代わりフェザーカミソリの刃の一角を一定の角度をもたせて切断し,刃先支持器で固定したものを試作して,健常者,各種疾患特に出血性素因のある症例について出血時間の測定を行った.

日常細菌検査におけるグラム陰性桿菌の同定に関する考察

池戸 正成 , 石塚 巌 , 上田 貞善 , 青山 巌 , 賀屋 秀男 , 宮崎 真知子 , 佐野 和三 , 奥山 清子 , 土屋 俊夫 , 寺島 英一 , 岡部 洋太郎

pp.777-780

はじめに

 検査室において臨床細菌検査が他の検査部門と異なる点は,それが患者材料そのものの分析でなく,その中に存在する起因菌を証明することである.

 周知のごとく近年感染症の変貌が著しく,菌対宿主の関係は複雑になり,同定検査の重要性が増大していることは事実である.一方,繁忙な検査室では限られた人員で多数の検体を処理し,分離菌について詳細な同定検査を行うことは困難な状況にあり,検査の簡易化,検査時間の短縮,精度の向上を望んでいるのが一般の実態である.

編集者への手紙

簡便な髄液細胞採取方法(その2)

津田 芳見 , 二宮 恒夫 , 宮尾 益英

pp.781

 髄液中の細胞組成を調べることは,髄膜炎の鑑別診断に重要なことは言うまでもありません.最近我々は,他院の症例でありますが,広東住血線虫による好酸球性髄膜炎を経験しましたが,それに伴う簡便な髄液細胞採取法を考案しましたので報告します.

 入院時,髄液細胞数が1394/3μlで,多核球が53%を占め,細菌性髄膜炎と診断された.抗生剤の投与が行われたが,入院6日後の髄液細胞数は2904/3μlと減少せず,やはり多核球が多いということであった.このときの髄液を利用して,前回報告した髄液細胞採取方法により細胞を採取し,ライト染色(武藤薬品製)を施し検鏡したところ,好酸球が62%見られた.すなわち,多核球のほとんどは好酸球であった.髄液とサムリン液を白血球メランジュールで混合し,フックスローゼンタール計算板上で髄液細胞数を算定すると同時に,髄液細胞組成がただ単に多核球が優位か,単核球が優位かの検討に終われば,診断を誤る危険性のあることを痛感した.

病理肉眼標本真空パックについて

山田 喬

pp.782-783

 わずかな技術的進歩が多くの便利さをもたらし,それがやがては仕事の内容の向上に連なることはよく知られています.小生が6年前に考案し,実用化した"病理肉眼標本パック"がその一つの例になってきたように思われます.そこで製作考案者として,多くの人々にこの便利な装置を利用していただきたく筆を取った次第です.そしてここに,本装置が生まれ出た由来と,その利点及び問題点を書いてみたいと思います.

新しいキットの紹介

トキソプラズマ ラテックス凝集反応(ガラス板法)の検討

山浦 常 , 白坂 龍昿 , 松本 克彦 , 山田 正次

pp.784-787

はじめに

 トキソプラズマ症の診断は,患者の検査材料からトキソプラズマ原虫を証明することが最も有力な根拠となるが,実際上これは困難なことが多く,血清学的検査法に頼ることが普通である.トキソプラズマ症の血清学的検査法のなかで,最も信頼のおけるものは色素試験(DT)1)である.しかし,一般の検査室ではDTを実施することが困難なため,これに代わって間接赤血球凝集反応(IHA)が広く用いられてきた2,3).IHAは従来その術式の簡易化が望まれキットも市販4)されたが,現在のところ満足すべき製品は得られていない.最近,トキソプラズマ症の血清診断用として間接ラテックス凝集反応のガラス板法を応用した製品(トキソラテックス,以下TL)が日本凍結乾繰研究所より試作された.本製品は,従来のIHAやそのキット製品に比べて操作が容易で,検査結果の判定が2分で完了し,試薬の長期保存も可能であるという.今回,著者らは本製品(Lot.16)について検討する機会を得たのでDTやIHAの成績と比較しつつ考察した.

新しい機器の紹介

自動血球計数器 Hem-alyzer Model 400の有用性について

管原 由恵 , 大橋 裕子 , 稲井 節子 , 三村 幸一 , 松岡 瑛

pp.788-790

はじめに

 血球自動計数器は,光学的原理のものと電気的原理のものとに大別されるが1),筆者らは前者を測定原理とするHem-alyzer Model 400(米国Fisher社,代理店:パシフィック科学貿易KK,東京)を試用する機会を得たので,機器性能について二,三の知見を報告する.

Laboratory Instrumentation

ガスクロマトグラフィー

板屋 宗明

pp.792-795

 ガスクロマトグラフィー(GC)は非常に優れた分離分析手法であること,数多くの特徴ある高感度検出法があることなどによって,現在では最も重要な分析手法の一つとして多方面にわたって利用されており,医学,薬学,生化学の分野でもなくてはならない機器分析法の一つとなっている.

 ところで,生体物質を直接そのままガスクロマトグラフに導入することは分析の精度上,機器の保守上よくない場合が多く,抽出やカラムクロマトなどによるクリーンアップ,測定成分の誘導体化などいわゆる試料の前処理が必要で,それがまた一般に複雑である場合が多く,操作の簡便さを要求される臨床検査には,現在はまだ使われることは少ない.

検査室の用語事典

心機能検査

椎名 晋一

pp.797

73) Minesota code;ミネソタコード

ミネソタ大学(米)のBlackburnらにより考案され,疫学的調査を目的とした心電図の分類基準である.臨床応用するには不整脈の分類が十分でないなど問題がある.

内分泌検査

屋形 稔

pp.798

60) Immunoreactive insulin(IRI)

生物学的方法で測定したインスリン値はインスリン様活性(ILA)と呼ばれ問題点が多かった.免疫学的方法によるインスリン値(IRI)は精度,特異性に優れ,最近はもっぱらこの値が用いられる(空腹時20μu/ml前後)が,これも報告者により,また遊離型と抗体結合型の分離法でバラツキがある.

質疑応答

臨床化学 エンザイム活性値の高値

K生 , 松本 宏治郎

pp.799-801

 〔問〕sGOT,sGPTの測定値で1,000 KA単位とか1,000 RF単位とかありますが,理論的にエンザイムの活性値がこのような高値まで正確に表現できるのでしょうか.

臨床化学 Evelyn-Malloy法のビリルビン測定

S生 , 山田 正明

pp.801-802

 〔問〕Evelyn-Malloy法でビリルビンを測定する際,ジアゾ試薬を加えたものにメタノールを入れると混濁が生じる場合があります.そのとき塩酸を滴下すると消失しますがなぜでしょうか.

血液 出血傾向検査

A生 , 松岡 松三

pp.803-805

 〔問〕出血傾向検査のスクリーニング検査にどのような検査項目をセットすべきでしょうか,お教えください.

血液 LE細胞試験

O生 , 橋本 博史

pp.805-807

 〔問〕LE細胞試験において採血後2時間,室温と37℃に放置するのはどちらが良いのでしょうか.またその意義をお教えください.骨髄中で抗凝固剤の使用により初めてLE細胞が認められたとありますが(末梢血中には存在せず,体外で初めて形成されるとあります),骨髄と末梢血中とはどこが違うのでしょうか.また典型的LE細胞,非典型的LE細胞,疑似細胞の区別とその意義をお教えください.

免疫血清 補体のcold activation

K生 , 近藤 元治 , 竹村 周平 , 堀田 忠弘 , 松村 直幸

pp.808-810

 〔問〕補体価の測定で,肝疾患患者の場合,血清補体価と血漿補体価の間に明らかな差がみられ,最近ではそれが補体のcold activationのためと言われているようですが,詳しくご説明ください.

微生物 分離平板上の集落が小さいときの釣菌

S生 , 藪内 英子

pp.810-811

 〔問〕分離平板上の集落が小さいとき,二つ以上の類似集落を同一菌種とみなして同時に釣菌し,各種培地に接種してもよいのでしょうか.

雑件 臨床検査の範ちゅう

Y生 , 稲生 富三

pp.811-812

 〔問〕臨床検査の守備範囲をどう考えたらよいでしょうか.検査技師長の意見を伺いたいと思います.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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今月の特集1 もっと知りたい! 川崎病
今月の特集2 CKDの臨床検査と腎病理診断

60巻5号(2016年5月発行)

今月の特集1 体腔液の臨床検査
今月の特集2 感度を磨く—検査性能の追求

60巻4号(2016年4月発行)

今月の特集1 血漿蛋白—その病態と検査
今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

今月の特集1 日常検査からみえる病態—心電図検査編
今月の特集2 smartに実践する検体採取

60巻2号(2016年2月発行)

今月の特集1 深く知ろう! 血栓止血検査
今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

今月の特集1 移植医療を支える臨床検査
今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

今月の特集1 ウイルス性肝炎をまとめて学ぶ
今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ

59巻10号(2015年10月発行)

今月の特集1 見逃してはならない寄生虫疾患
今月の特集2 MDS/MPNを知ろう

59巻9号(2015年9月発行)

今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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