icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査22巻8号

1978年08月発行

文献概要

カラーグラフ

解説

著者: 加野象次郎1

所属機関: 1慶大病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.820 - P.820

文献購入ページに移動
1.LDHアイソザイム
 図1には,正常の血清LDHアイソザイムパターンを示す.電気易動度の異なる五つのアイソザイムがほぼ等間隔で泳動される.セルロゲルは,電気浸透や分子ふるい効果の少ない膜であり,LDHのようなcharge isomerの分離には適した支持体と言えよう.
 次に,幾つかの疾患のザイモグラムを見てみよう.図2は心筋梗塞で,心筋由来のⅠ,Ⅱ型の上昇が特徴的である.しかし,溶血性貧血や悪性貧血など赤血球由来のLDHが出現する病態でも類似したパターンをとるので,Ⅰ,Ⅱ型の上昇のみから心筋由来と言い切ることは危険である.赤血球ではⅠ<Ⅱなのに対し,心筋ではⅠ>Ⅱである.もらうん,CPKやLDH/GOTなどの情報を加えれば,診断は更に確実なものとなる.また,心筋梗塞に伴って右心不全を呈した場合には,うっ血肝によるV型の上昇が加わることもある.白血病患者のザイモグラムを図3に示す.Ⅱ,Ⅲ型が優位に増加している.白血病細胞の幼若度に応じて,Ⅱ型の比率が高くなることが知られている.図4は,急性肝炎のパターンである.V型の上昇を特徴とするが,ⅣやV型の増加する疾患は悪性腫瘍や筋疾患など他にも多いので,他種の酵素との対応から考えを進めていく必要があろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?