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文献詳細

雑誌文献

臨床検査22巻8号

1978年08月発行

文献概要

総説

胆石の生成機序

著者: 大菅俊明1

所属機関: 1筑波大学臨床医学系(内科)

ページ範囲:P.845 - P.850

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 街道筋を旅の途中で,姫君が癪(しゃく)の発作を起こし,腹痛の激しさに耐えかねているとお付きの仲間(チュウゲン)が薬籠から熊の胆(い)を取り出して与え,介抱するくだりは歌舞伎の舞台などでおなじみのシーンである.恐らく癪の発作は胆石が主な原因であったろうと推測されるが,胆石は古くから知られ,今日においても代表的な消化器疾患の一つである.日本人の胆石保有率は約5%であり,この中には無症状で当人が一生気付かずに墓の中まで持ってゆく,いわゆるsilent stoneも多い.しかし最近ではドックや検診が普及してきたので自覚症なしでも胆石を発見され,どうしてこんなものができたのかしら,偏食したからだろうか,できやすい体質なのだろうか,このまま放置してよいのだろうかなどと首をかしげる人も多い.ましてや,七転八倒の疝痛発作を経験した者にとっては,胆石の成因,治療法,予防などは切実な問題である.
 胆石を化学成分からみたとき,コレステロールを80〜100%含むコレステロール系石と,ビリルビンや不明の胆汁色素,無機質を主成分としていてコレステロールをわずかしか含まぬ色素系石(ビリルビン系石)に二大別すると便利である.分類し切れない胆石も多いが,この分類の典型例は,成分ばかりでなく種々の点で異なっているからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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