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研究
血小板,リンパ球のチトクロムb5還元酵素活性測定による遺伝性メトヘモグロビン血症の鑑別診断—特に脳神経障害を伴う場合について
著者: 谷島清郎1 石田昌子1 竹内真理子1 福田直子1
所属機関: 1金沢大学医療技術短期大学部衛生技術学科
ページ範囲:P.1515 - P.1518
文献購入ページに移動遺伝性メトヘモグロビン血症(Mt症)は,赤血球内メトヘモグロビン還元酵素(正確にはNADH—チトクロムb5還元酵素)の欠損により,血中にメトヘモグロビン増加をみる疾患である1〜3).臨床的にはメトヘモグロビン増加によるチアノーゼがあるだけで,さして日常生活には支障がない.しかし近年,本症の中には単なるメトヘモグロビンの増加のみでなく,重篤な精神神経及び発育障害を伴う場合のあることがしだいに明らかとなり,その早期診断が重要視されている4〜6).この場合,酵素の欠損は赤血球のみならず肝や筋肉など全身的に認められる。前者を赤血球型(erythrocyte type),後者を全身性(generalised type)と呼んでいるが,これら二つのタイプを確実に診断するためには,以上のような違いから明らかなとおり,赤血球以外にも全身的に組織の酵素活性を測定しなければならない.
今回は全身組織を代表する材料として,赤血球と同様最も採取しやすい白血球,血小板を用いて,そのチトクロムb5還元酵素活性を測定することにより,赤血球型及び全身性両タイプの鑑別を検討したので報告する.
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