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文献詳細

雑誌文献

臨床検査23巻7号

1979年07月発行

文献概要

Ex Laboratorio Clinico・31

Abnormal fibrinogen "Nagoya"

著者: 高松純樹1 神谷忠1

所属機関: 1名古屋大学第1内科

ページ範囲:P.712 - P.717

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フィブリノゲン異常症とは
 フィブリノゲンの質的異常については1944年Fanconiが,1955年にはIngramがその存在について示唆したが,両者とも明確にすることはできなかった.1958年ImperatoとDettoriは,血中フィブリノゲンが極めて低値である重篤な出血症状を呈する少女について報告した1).当時は正確な診断がなされず,後になりフィブリノゲン異常症と分かり,先天性フィブリノゲン異常症の第一例となった.
 1963年Ménachéは免疫学的には何ら正常フィブリノゲンと変わりはないにもかかわらず,トロンビンによる凝固が全く起こらない先天性フィブリノゲン異常症を報告した2).翌1964年にBeckは,新しいフィブリノゲン異常症を発見し,先天性ヘモグロビン異常症と同様に発見された都市の名を付けることを提唱した3).以来現在までに世界で約50例の症例が発見されており,従来量的な異常と考えられていた低フィブリノゲン症の一部には,質的な異常を示すフィブリノゲン異常症も含まれていると考えられるようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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