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文献詳細

雑誌文献

臨床検査24巻11号

1980年11月発行

文献概要

特集 出血傾向のLaboratory Diagnosis Ⅲ.最近注目されている出血性素因

3.DIC

著者: 大里敬一1 加藤秀典1

所属機関: 1産業医料大学・第1外科

ページ範囲:P.1304 - P.1310

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 血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagul-ation;DIC)は,種々の原因により全身の細小血管内に微小血栓が多発し,そのために様々な全身症状,臓器症状及び出血症状が現れる状態を示す重篤な症候群で,死亡率が非常に高く約70%にのぼると言われている.DICの概念が臨床面に導入されて20年以上を経過し,その病態がしだいに明らかになるに従い診断面でも進歩はみられるが,いまだに確実な診断基準がないのが現状であろう.
 DICの臨床診断は,凝固系の活性化を促進するような悪性腫瘍,感染症,ショックなどの基礎疾患(図1)が必ず存在し,細小血管の多発性血栓形成による腎,肺,脳,副腎,心,消化管などの臓器の機能不全症状や,凝固因子の大量消費によるいわゆる消費性凝固障害(consumption coagulopathy)に基づく皮下出血,口腔・鼻粘膜出血,消化管出血,頭蓋内出血,性器出血,血尿,創出血などの出血症状,特に多発性の出血傾向のいずれかまたは両者が現れた場合にのみ下されるべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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