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雑誌詳細

文献概要

特集 出血傾向のLaboratory Diagnosis Ⅶ.検査機器と問題点

2.自動凝固測定器

著者: 鈴木弘文1

所属機関: 1北里大学衛生学部・血液学

ページ範囲:P.1436 - P.1441

 血液凝固検査領域における自動測定装置の変遷過程をたどってみると,興味ある点に気が付く.すなわち1930〜1940年代と1970年〜現在の二つの時期に,血液凝固自動測定装置の開発考案が盛んに促進されている点が一つ挙げられる.第二点として血液凝固自動測定装置開発の目的が,血液凝固能の観察→血液凝固検査の精度管理の改善→凝固検査の省力化及び能率的管理→用手法では得られない凝固能の情報の取得,と変遷している点である.もちろん第二点として列挙した自動化開発の目的の変遷に関しては明確な区別があるわけではなく,徐々に移行していることが推察されるにすぎないし,またある意味においてはこれらの目的とする事項のすべてが,今日の血液凝固自動測定機器の目的とするところであると言えるかもしれない.
 いずれにせよ今日我が国での入手可能な血液凝固自動測定装置は,30種とも40種とも言われているくらい多数存在していることは明らかであり,過去においても例をみないことである.このように今日多数の凝固検査自動測定装置が登場してきた原因として,ME工学の発達はさておいて,血液凝固学の進歩に伴い血液凝固検査の重要性が強く認識され,広く普及してきた点が挙げられる.こうした現況下における凝固自動測定装置の有する意義は極めて重要であり,ただ単に操作の簡易化,処理能力の増大を重視した装置であってはならないことは言うまでもない.

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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