文献詳細
特集 臨床神経生理学的検査の進歩
Ⅰ 脳波
文献概要
ヒト頭皮上から記録される聴覚系の電気現象(聴性誘発反応)は,コンピュータ加算法が導入されて以来,ここ20年間に急速に進歩した.現在では,聴性誘発反応によって,聴神経から大脳までの一連の聴覚伝導路の活動電位を,すべて記録できるようになった.すなわち,聴神経と脳幹の電位は聴性脳幹反応によって,内側膝状体から第一次聴皮質までの電位は中間潜時反応によって,更に高次の電位は頭頂部緩反応によって記録できる(図1).
聴覚系の主な機能は,音の周波数と強弱の分析である.まず蝸牛において音の粗な分析が行われる.聴神経から大脳までの聴覚伝導路では,より精密な音の分析・統合が行おれ,音として認知される.したがって,臨床検査としての聴性誘発反応の利用方法は,聴覚系の末稍装置の機能,及び聴覚伝導路(神経系)の機能を評価することである.つまり"どの周波数の音が,どのくらい聞こえるのか"を調べる聴力検査と,"どこが悪いから聞こえないのか"を評価する神経学的検査とである.本稿においては,聴性誘発反応を用いた最適な他覚的聴力検査法と神経学検査としての神経学領域への応用について述べる.
聴覚系の主な機能は,音の周波数と強弱の分析である.まず蝸牛において音の粗な分析が行われる.聴神経から大脳までの聴覚伝導路では,より精密な音の分析・統合が行おれ,音として認知される.したがって,臨床検査としての聴性誘発反応の利用方法は,聴覚系の末稍装置の機能,及び聴覚伝導路(神経系)の機能を評価することである.つまり"どの周波数の音が,どのくらい聞こえるのか"を調べる聴力検査と,"どこが悪いから聞こえないのか"を評価する神経学的検査とである.本稿においては,聴性誘発反応を用いた最適な他覚的聴力検査法と神経学検査としての神経学領域への応用について述べる.
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