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雑誌詳細

文献概要

今月の主題 新しいウイルス検査法 総説

ウイルス検査の意義と技術の進歩

著者: 日沼頼夫1

所属機関: 1京都大学ウイルス研究所

ページ範囲:P.983 - P.990

序に代えて—り・ね・き・ち・り・け・ち
 ウイルス感染症は,臨床症状だけでその病原ウイルスの診断ができる場合が少なくない.例えば多くのはしか(mcasles),おたふく風邪(mumps)水痘(chicken pox or varicella)などがこれである.しかし,いつも必ず臨床症状で診断がつくとは限らない.はしからしいけれども風疹(三日はしか)の可能性もある.ひょっとすると薬疹の可能性も否定できないこともある.それ以上に臨床症状だけからの診断はほとんど不可能なウイルス感染症もまた多い.例えば,いわゆる"かぜ"である.インフルエンザウイルスによるインフルエンザなのか,いわゆるライノウイルスによる"はなかぜ"なのか,あるいは他のパラインフルエンザウイルスによるものなのか,果てはレンサ球菌によるものか,分からぬことがほとんどである.もし分かるとしたら,むしろ何か間違っているか,あるいはひとつの新しい臨床所見として報告すべきものである.
 かくて,ウイルス感染症の場合はウイルス特異的診断(または病原診断)が必要となることが少なくない,本稿ではこの診断方法あるいは診断技術が,現在どのようになっているかについて,将来の見通しも含めて述べてみたい.

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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