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分離分析の技術Ⅰ・1【新連載】
セルロースアセテート膜電気泳動法—血清蛋白質の標準分画法
著者: 橋本寿美子1
所属機関: 1日本大学医学部付属板橋病院臨床検査部
ページ範囲:P.99 - P.107
文献購入ページに移動 電気泳動法は血漿蛋白質をはじめとする体液中蛋白質の分析法として,もっとも広く利用されている方法の一つである.電気泳動法はTiseliusの開発による自由電気泳動法1)と,寒天,濾紙あるいはセルロースアセテート膜(セ・ア膜)などの支持体を用いる,いわゆる支持体電気泳動法と呼ばれる方法との二法に大別される.これらの中で,Kohnが紹介したセ・ア膜2)は優れた長所を数多く備えている.すなわち,①薄くて均質な多孔質膜である,②試料や色素の吸着が少ない,③微量の検体で実施できる,④泳動時のテーリング現象がほとんどない,⑤各分画の分離が明瞭である,⑥透明化剤を用いると一瞬のうちに完全に透明となる,などである.これらの優れた特質のゆえに,セ・ア膜は電気泳動用支持体としてもっとも広く利用されており,この方法による血清蛋白分画の解析は日常検査においてもスクリーニングテストの一つとして重要な検査項目となっている.またセ・ア膜電気泳動法は,血清蛋白の分画のほかにリポ蛋白分画3〜6),LDH7),ALP4),アミラーゼ8)あるいはクレアチンキナーゼ9)などの各種アイソザイムの分析およびヘモグロビン4)の分析などにも有用な手段となっている.
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