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分離分析の技術Ⅰ・5
ポリアクリルアミド電気泳動法—γ-GTPアイソエンザイム分析
著者: 澤武紀雄1
所属機関: 1金沢大学医学部第1内科
ページ範囲:P.592 - P.599
文献購入ページに移動 γ-GTPはγ-グルタミルペプチドを水解すると同時に,そのγ-グルタミル基と他のアミノ酸やペプチドとの転移反応を触媒する膜結合酵素である.その生物学的意義は十分解明されていると言えないが,細胞内のグルタチオンの分解と合成に共役するアミノ酸の搬送機構に関与していると考えられている1).正常の成熟臓器ではその活性は腎にもっとも高く,次いで膵や副睾丸に多く,肝の活性は非常に低い.胎生期における肝の活性は非常に高く,分化成長に従いしだいに活性を減じ,生後著しく減少する.成熟肝では胎生期の1/10以下の活性しか示さなくなる2).組織学的にも胎児肝のγ-GTPは肝細胞の毛細管側にもっとも強く認められ,細胞質内にもび漫性に染色される.一方,正常成熟肝では細胆管上皮に散在的に染色されるにすぎない.また,種々の実験肝癌の発癌過程を経時的に検討した成績をみると,前癌性病変として注目されている過形成結節において,すでに強いγ-GTP活性が現れ,変化が進行するに従い活性が増加することが知られている3〜6).このようなことより,癌化に伴う本酵素活性の上昇は一種の癌胎児化現象ともみなされている.
γ-GTPには濾紙電気泳動で移動度の異なるアイソザイムの存在することが1965年にKokatとKuska7)によって報告されて以来,種々の支持体を用いた検討が試みられてきたが,臨床的な価値はほとんど認められていなかった.
γ-GTPには濾紙電気泳動で移動度の異なるアイソザイムの存在することが1965年にKokatとKuska7)によって報告されて以来,種々の支持体を用いた検討が試みられてきたが,臨床的な価値はほとんど認められていなかった.
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