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基礎科学からの提言・6
NMRによる生体計測
著者: 田中邦雄1
所属機関: 1旭川医科大学医学部附属実験実習機器センター
ページ範囲:P.1638 - P.1647
文献購入ページに移動はじめに
最近,医学領域においてX線CTに次ぐ新しい画像診断法として,核磁気共鳴法(nuclear magn-etic resonance;NMR)を用いたNMR-CTに大きな関心が集められ,わが国でも臨床データの報告がされ始めている1).また,単に画像診断法としてばかりでなく,細胞や生体レベルでの代謝など生理機能の無侵襲計測法としての期待も大きい2).
NMR現象は1946年にE.M.Purcellら3)およびF.Blochら4)により,それぞれ独立に理論体系が確立された.本法はスピンを持つ原子核を静磁場中に置き,ラジオ波を照射してそのエネルギーの吸収を観測する分光学的測定法の一つである.エネルギーの吸収のしかたは,周囲にある原子核や電子の影響を受け,原子核周囲の状態を敏感に反映する.したがって,原子や分子の結合状態や運動性などの情報が得られることから,これまで主に有機化学の領域で構造解析手段として広く利用されてきた.
最近,医学領域においてX線CTに次ぐ新しい画像診断法として,核磁気共鳴法(nuclear magn-etic resonance;NMR)を用いたNMR-CTに大きな関心が集められ,わが国でも臨床データの報告がされ始めている1).また,単に画像診断法としてばかりでなく,細胞や生体レベルでの代謝など生理機能の無侵襲計測法としての期待も大きい2).
NMR現象は1946年にE.M.Purcellら3)およびF.Blochら4)により,それぞれ独立に理論体系が確立された.本法はスピンを持つ原子核を静磁場中に置き,ラジオ波を照射してそのエネルギーの吸収を観測する分光学的測定法の一つである.エネルギーの吸収のしかたは,周囲にある原子核や電子の影響を受け,原子核周囲の状態を敏感に反映する.したがって,原子や分子の結合状態や運動性などの情報が得られることから,これまで主に有機化学の領域で構造解析手段として広く利用されてきた.
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