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文献詳細

雑誌文献

臨床検査27巻13号

1983年12月発行

文献概要

資料

国外感染を疑う無鉤条虫症の一例

著者: 阿部弘1 前根美砂子1 岩本典子1

所属機関: 1東京都中央区日本橋保健所予防課検査室

ページ範囲:P.1664 - P.1666

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はじめに
 人体腸管内寄生の大型条虫には広節裂頭条虫(Di-phyllobothrium latum),大複殖門条虫(Diplogonopor-us grandis),有鉤条虫(Taenia solium),無鉤条虫(Taenia saginata)などが挙げられる.広節裂頭条虫は溯河性魚類,大複殖門条虫はおそらく海産魚類,有鉤条虫はブタおよびイノシシ,無鉤条虫はウシおよび,ごくまれにヒツジが中間宿主になることが知られているので,これら中間宿主を生あるいは不完全調理の状態で人が食べることにより感染する.しかし,これらの条虫成虫感染者は,有鉤?虫症を併発した場合を除き,必ずしも大きな症状が現れるとは限らず,一般に排便時に虫体あるいは片節を排泄することにより初めて感染を知ることが多い.
 今回われわれは,排便時に肛門から片節を排泄した患者が,出張先のアフリカにおいて感染し帰国後発症したものと思われたので,本患者を対象にして虫体の鑑別と駆虫を行い,諸外国において本虫感染がまれでないことを知り,今後の輸入寄生虫病に対する医療従事者の注意を喚起したく報告するものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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