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文献詳細

雑誌文献

臨床検査27巻13号

1983年12月発行

文献概要

資料

ELISA法とRIA法による血清フェリチン値の比較

著者: 河島由美子1 七條茂樹1 萩原静夫1 横山三男1 川越正孝2

所属機関: 1久留米大学医学部免疫学教室 2帝人バイオサイエンスラボラトリーズ臨床検査室

ページ範囲:P.1667 - P.1670

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はじめに
 フェリチン(ferritin)は,24個のサブユニットから成る分子量45万の高分子蛋白質であり,各種の臓器,特に肝細胞や細網内皮系細胞,あるいは血清中に存在する.サブユニットにはHとLの二つのtypeがあり,HとLの割合によって異なった分子特異性を示す.主としてH—サブユニットから構成されているフェリチンを酸性フェリチン(acidic ferritin)と言い,L-サブユニットが主体と成すものを塩基性フェリチン(basic ferritin)と呼んでいる1).心臓,膵臓,腎臓,胎盤,胎児の肝臓には,酸性フェリチンが主に分布し,肝臓,脾臓および血清中には,塩基性フェリチンが主に分布している2)
 血清中のフェリチンの濃度は,体内の鉄保存量と密接に関係している3)ことが明らかにされて以来,鉄欠乏性の貧血と他の原因による貧血とを区別する手段として診断に用いられるようになった.血清中のフェリチンの測定は,感度や再現性に優れているradio-immunoassay (RIA)が用いられているが,一般の検査室では行えない不便さがある.Milesら4)は,酵素を標識した抗ヒトフェリチン抗体を用い,基質の発色による吸光度を測定することによりフェリチン濃度を求める方法,すなわちenzyme linked immunosorbent assay (ELISA)を考案した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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