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文献詳細

雑誌文献

臨床検査27巻2号

1983年02月発行

文献概要

今月の主題 プロスタグランジン 総説

プロスタグランジン研究の最近の進歩と臨床

著者: 渡辺恭良1 早石修2

所属機関: 1京都大学放射性同位元素総合センター 2京都大学医学部医化学教室

ページ範囲:P.157 - P.165

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はじめに
 プロスタグランジン(PG),トロンボキサン(TX)およびロイコトリエン(LT)などのPG関連化合物は,いずれも前駆体として炭素数20の不飽和脂肪酸から生成する.図1に,前駆体とそれから生成される化合物の種類を概括した.これらの前駆体のうち,食物として摂取されるものによる影響を過大評価しなければ,動物細胞においてはアラキドン酸(AA)が主体であるので,その代謝物が大きなウェイトを占める.したがって,本稿でもアラキドン酸代謝物質について記述する.
 AAは,細胞内では遊離して存在せず,膜内のリン脂質のグリセロール骨格の2位にエステル結合して存在しており,種々の刺激に応答して放出されてくる.図2に示したような数多くの生理活性物質の前駆体であり,2種の酸素添加酵素に初発する経路すなわち,シクロオキシゲナーゼ経路(PG-TX合成系)とリポキシゲナーゼ経路(一部LT合成系)とによって代謝される.これらの代謝物は,プライマリーPGと呼ばれるPGE,PGFを除いては,すべて最近発見され,構造決定されたものばかりであり,炎症,血栓形成,末梢循環,平滑筋収縮などにおける作用のほか,新たに知られるようになった神経伝達や内分泌の調節作用など,多彩な生物活性を担っていることが明らかになってきた.また,組織や臓器によってAA代謝物の種類が異なることが知られ,PG関連化合物が特異的な生理機能に対して個別に働いていることを示している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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