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全血血小板凝集計の持つ問題点—電極洗浄と感度について
著者: 松尾理1 酒井鉄博1 松尾睦美1 村上典子2 鈴木有朋2
所属機関: 1近畿大学医学部第二生理学教室 2近畿大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.939 - P.941
文献購入ページに移動血小板の機能は,血栓の形成あるいは出血傾向などにみられるように,その正常範囲を逸脱すると,速やかに病的な状態が惹起される.日本における生活習慣の変化などによって,最近,血栓関連疾患が増加しているようにみえる.すなわち,厚生省の「死因統計」1)によると,死因順位の第1位に悪性腫瘍がなった(16.6万人)ものの,第2位は脳血管障害であり(15.7万人),その約6割は脳梗塞である.また,第3位は心臓疾患(12.6万人)で,そのうち約4割は虚血性疾患となっている.この中から血栓塞栓性疾患を合計すると,おそらく悪性腫瘍を抜いて死因統計の第1位になると思われる.このように,わが国においても欧米に類似して,血栓塞栓性疾患が増加していると思われ,そのため血栓塞栓性疾患の早期発見あるいは予防のための検査が必要である.この意味において,血小板機能検査はたいへん重要である.
一般的に血小板機能検査として患者の血液から多血小板血漿(以下,PRPと略)を分離し,それを血小板凝集計に入れ,ADPなどの凝集惹起物質を添加することによって起こされる透過度の変化のパターンから判定2)されている.全血からPRPを分離する手段がデリケートな血小板機能になんらかの影響があるとも考えられるうえ,操作の煩わしさが血小板凝集機能検査の一般的な普及の障害になっているとも言える.
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