私のくふう
ゲル作製が容易な垂直型電気泳動装置
著者:
高橋豊三1
高橋直子1
奥田研爾1
所属機関:
1横浜市立大学医学部細菌学教室
ページ範囲:P.710 - P.711
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近年,バイオテクノロジーが発展して,電気泳動法による蛋白質の分離や精製解析が盛んに行われている.特に遺伝子工学領域においては,電気泳動法の技術が必須であり,アガロースゲルやポリアクリルアミドゲルを用いて高分子のDNAやRNAを酵素で処理した後に,電気泳動法によるバンドに分ける操作が日常必須の操作である.最近では,臨床検査の分野においても,これら最新の技術が取り入れられ,サザーン・ハイブリダイゼーションという技術を駆使して遺伝子診断を行おうという試みが盛んになされつつある.公衆衛生学的な分野においても,流行している細菌やウイルスの遺伝子を制限酵素で処理して,その泳動パターンで型別することが行われ始めている.著者らは,これら電気泳動技術の必要性を考えて,基礎研究分野はもちろんのこと,臨床方面においても貢献できるように,ゲルの作製が非常に容易にしかも迅速にできる器具を開発したので,ここに報告しておきたい.この器具は著者の一人がスイス・バーゼル免疫研究所やアメリカ・カルフォルニア大学で研究していたときに,実際に作製し,使用して非常に便利であった.