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文献詳細

雑誌文献

臨床検査28巻7号

1984年07月発行

文献概要

講座・リンパ球の検査・7

B細胞の増殖・分化調節因子の測定法

著者: 笠原忠1

所属機関: 1自治医科大学医動物学教室

ページ範囲:P.816 - P.823

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はじめに
 近年B細胞の活性化の研究が盛んになり,その増殖と分化の過程が急速に解明されるようになってきた.この背景にはB細胞に働く種々の因子,特にT細胞からの可溶性因子であるB細胞増殖因子(BCGF)やB細胞分化因子(BCDF)あるいはT細胞代替因子(TRF)の精製が進み,その物理化学的性質が明らかにされつつあること,またこれらの因子を大量に産生するT細胞株やT細胞ハイブリドーマの樹立がなされてきたことによるものと考えられる.B細胞の増殖と分化にはT細胞からの因子が重要な役割を演じている.図1に,B細胞の増殖と分化におけるBCGFとBCDFの関与を抗原刺激後のリセプター出現との関連から,仮説的に描いてある1).すなわちinvivo (ここでは扁桃組織)におけるB細胞の大多数(約80%)は静止期にある小型の細胞で,これらはin vitroにおいて抗μ抗体のような抗原の刺激を受けると初めてBCGFのリセプターが出現する.BCGFが結合してB細胞が増殖するとBCDFのリセプターが出現し,BCDFの刺激を受けて活性化B細胞は抗体産生細胞へと分化する.一方,少数の大型のB細胞はin vivoにおいてすでになんらかの抗原刺激を受けており,BCGFのリセプターを保有している.したがって,このようなB細胞は,in vitroにおいて新たな抗原刺激を受けることなくBCGFのみで増殖することができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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