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文献詳細

雑誌文献

臨床検査28巻9号

1984年09月発行

文献概要

今月の主題 腫瘍マーカー カラーグラフ

腫瘍患者のアイソザイム

著者: 中山年正1

所属機関: 1虎の門病院生化学科

ページ範囲:P.1008 - P.1010

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 癌患者の体液アイソザイム像が多様であるように,それをもたらす原因もさまざまである.すなわち,腫瘍浸潤による血管・胆管の閉塞,細胞膜透過性変化,細胞破壊,あるいは癌による酵素の過形成などの癌および周辺組織からの正常酵素の遊出はいわば酵素の量的変化であるが,癌のLDH M型偏倚のような質的変化もある.これはGreenstein (1954)の第一法則"癌組織の性質は胎児組織のそれに近づく"で説明される.これにも,元来そのアイソザイムが正常組織でも多量に含まれているもの,あるいは,損傷組織の再生・修復時に癌と類似の偏倚をするもの,のために特異性の欠けるものと,胎児または胎盤にのみ存在し,成人でみられないものが再び現れるという特異性の高いものがある.後者は,癌の母細胞への脱分化,分化の逆行,あるいは調和の無い脱分化という意味で"異分化"と言い,この種のアイソザイムは腫瘍特異性が高いので腫瘍マーカーに挙げられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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