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文献詳細

雑誌文献

臨床検査28巻9号

1984年09月発行

文献概要

今月の主題 腫瘍マーカー 技術解説

BFP(塩基性フェトプロテイン)

著者: 石井勝1 神田裕三2

所属機関: 1埼玉県立がんセンター臨床検査部 2埼玉県立がんセンター内視鏡

ページ範囲:P.1025 - P.1032

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 塩基性フェトプロテイン(basic fetoprotein;BEP)は,1974年石井によりヒト胎児の血清および腸組織中に発見された胎児性蛋白質である.BFPは,分子量73,000,等電点9.3の電気泳動によりγ-グロブリン領域に易動度を示す塩基性蛋白質である.本蛋白質は胃癌,大腸癌,肝細胞癌,肺癌,乳癌,子宮癌,白血病細胞などの諸種の癌細胞の細胞形質(cytoplasma)に存在し,血中に移行する腫瘍マーカーである.
 血中のBFP測定のために二抗体法によるラジオイムノアッセイと固相サンドイッチによる酵素免疫測定法とが開発された.本測定法により正常人,各種良性疾患および癌症例,計1,675例の血清BFPを測定した.正常人の血清BFP平均値は38.1ng/mlで,カットオフ値を80ng/mlに設定した場合,良性疾患の陽性率は19.7%で,肝炎,肝硬変症で30%以上の高い陽性率を示したが,これらの疾患を除く陽性率は12.9%であった.癌疾患の陽性率は44.2%で,特に原発性肝癌,胆道系癌,膵癌で60%以上の陽性率を示し,白血病,肺癌でも比較的高い陽性率を示した.BFP陽性率は癌の進行とともに増加する傾向は明白であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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