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文献概要
基礎科学からの提言・15
神経興奮の非線形力学
著者: 合原一幸1 小谷誠1
所属機関: 1東京電機大学工学部電子工学科
ページ範囲:P.1075 - P.1080
文献購入ページに移動はじめに
行動やふるまいに一見ランダムな「ゆらぎ」を伴うのは,酔客の歩行や乙女心に限らず,生体系に広くみられる現象である.最近10年ほどの「ゆらぎ」に関する理論的研究の著しい進歩により,差分方程式や微分方程式で表される確定的な非線形力学系が,一見ランダムで予測不可能なchaos(カオス)と呼ばれる非周期解を持ちうることが明らかにされ,数学,物理学,化学,生物学や工学など,種々の分野で注目を集めている1).
以下では,ヤリイカ巨大軸索およびHodgkin-Huxley方程式2)を例にして,神経膜レベルでの非線形力学やリズムとカオスに関して概説する.
行動やふるまいに一見ランダムな「ゆらぎ」を伴うのは,酔客の歩行や乙女心に限らず,生体系に広くみられる現象である.最近10年ほどの「ゆらぎ」に関する理論的研究の著しい進歩により,差分方程式や微分方程式で表される確定的な非線形力学系が,一見ランダムで予測不可能なchaos(カオス)と呼ばれる非周期解を持ちうることが明らかにされ,数学,物理学,化学,生物学や工学など,種々の分野で注目を集めている1).
以下では,ヤリイカ巨大軸索およびHodgkin-Huxley方程式2)を例にして,神経膜レベルでの非線形力学やリズムとカオスに関して概説する.
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