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研究
アンチトロンビンⅢの抗原量(レーザーネフェロメトリー)と生物活性(ヘパリンコファクター法)との関係
著者: 小林弘子1 松尾武文1
所属機関: 1兵庫県立淡路病院中検
ページ範囲:P.1085 - P.1088
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アンチトロンビンⅢ(AtⅢ)は凝固,線溶系のプロテアーゼ(トロンビン,活性化第Ⅹ因子,活性化第IX因子,活性化第ⅩⅠ因子,活性化第ⅩⅡ因子,カリクレイン,プラスミン)を失活させて血液の凝固線溶をコントロールしているもっとも重要なα2-グロブリン分画の糖蛋白である.AtⅢの減少は,先天性AtⅢ欠乏家系に見られるように血栓症にかかりやすく,また汎発性血管内血液凝固症(disseminated intravascularcoagulation;DIC)の診断に役だつ.日常検査として用いられるATⅢ測定法は,生物活性を調べる方法としては,凝固法,発色合成基質を用いる法が広く利用されており,抗原量を調べるには,一元電気免疫沈降法(ローレル法)と一元免疫拡散法(SRID法)がよく利用されている.しかしこれらの方法は判定までに時間がかかる欠点がある.
今回われわれは,レーザー光線を溶液内沈降反応に応用したレーザーネフェロメーター(Behring社ModuleⅠ,Ⅱ,Ⅲ)を用いて多数検体を完全自動で短時間で迅速にATⅢの免疫活性を測定する方法を検討し,本法による正常値および生物活性と抗原量の関係について若干の知見を得たので以下に報告する.
アンチトロンビンⅢ(AtⅢ)は凝固,線溶系のプロテアーゼ(トロンビン,活性化第Ⅹ因子,活性化第IX因子,活性化第ⅩⅠ因子,活性化第ⅩⅡ因子,カリクレイン,プラスミン)を失活させて血液の凝固線溶をコントロールしているもっとも重要なα2-グロブリン分画の糖蛋白である.AtⅢの減少は,先天性AtⅢ欠乏家系に見られるように血栓症にかかりやすく,また汎発性血管内血液凝固症(disseminated intravascularcoagulation;DIC)の診断に役だつ.日常検査として用いられるATⅢ測定法は,生物活性を調べる方法としては,凝固法,発色合成基質を用いる法が広く利用されており,抗原量を調べるには,一元電気免疫沈降法(ローレル法)と一元免疫拡散法(SRID法)がよく利用されている.しかしこれらの方法は判定までに時間がかかる欠点がある.
今回われわれは,レーザー光線を溶液内沈降反応に応用したレーザーネフェロメーター(Behring社ModuleⅠ,Ⅱ,Ⅲ)を用いて多数検体を完全自動で短時間で迅速にATⅢの免疫活性を測定する方法を検討し,本法による正常値および生物活性と抗原量の関係について若干の知見を得たので以下に報告する.
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