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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻10号

1985年10月発行

文献概要

シリーズ・先天性遺伝性疾患の診断に役だつ検査・10

遺伝性腎尿細管疾患

著者: 伊藤克己1 川口洋1

所属機関: 1東京女子医科大学腎臓病総合医療センター腎臓小児科学

ページ範囲:P.1192 - P.1199

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はじめに
 腎の構成単位であるネフロン(nephron)は,解剖・機能的に,糸球体と尿細管に分けることができる.糸球体によって得られた,糸球体濾液(原尿)は,尿細管を通過して,尿として排泄されるまでに,尿細管の各部位において,再吸収や排泄の修飾を受ける(図1).遺伝性腎尿細管疾患とは,先天的に,この物質の再吸収や排泄機能が欠損している病態を示す.尿細管におけるこれらの機能は,尿細管の細胞膜を通して物質が転送(transport)されることによって行われるので,別名,先天性尿細管転送異常とも言われる.本症には,一次性(先天的に膜の転送機能が欠損している)と,二次性(ほかの先天性疾患によって二次的に転送機能障害を生ずる)に分けられる.本疾患群は,主として,ブドウ糖,アミノ酸,リン酸,水,酸(アンモニア,重炭酸)およびこれらの物質の多種吸収・排泄欠損の六種類に分けることができる(表1).以下,その診断,鑑別のための検査方法について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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