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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻10号

1985年10月発行

文献概要

シリーズ・医用基礎工学入門・10

著者: 戸川達男1

所属機関: 1東京医科歯科大学医用器材研究所計測機器

ページ範囲:P.1201 - P.1203

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変温動物から恒温動物へ
 地球上に生物が発生したとき,温度条件が重要であったに違いない.陸上の温度は変化しやすいので,おそらく温度条件が安定している水中でまず生物の営みが始まった.水は熱容量が大きいので,体温調節などなくても安定な温度条件が確保される.その代わり,組織を水温と異なる温度に保つことは難しいので,体温はいつも水温と平衡してしまう.もっとも,進化した動物では,水中でも水温と異なる温度条件を保つことに成功した.すなわち,速く泳ぐ魚,例えばまぐろでは,筋の温度は水温より,14℃も高くなることがあるということである1).さらに進化の進んだ後,鯨やアザラシのように恒温動物になってまた水中に戻ってきたものもある.
 水中の動物が陸に上がることを試みたとき,温度変化の大きいのにとまどったに違いない.温帯でも昼夜の温度差は20℃以上になるであろう.最初に陸に上った動物はたぶん今の両生類に近いものであったと考えられているが,皮膚が湿っていたため,水の蒸発によって熱を奪われ,気温よりさらに冷やされた.爬虫類になって,乾いた皮膚を持つようになったが,気温の変化に対して一定の体温を維持することは困難であったので,暑いときや寒いときは土の中や岩の下にもぐり,適当な温度条件のときにだけ活動するという方法をとった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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