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シリーズ・先天性遺伝性疾患の診断に役だつ検査・2
先天性アミノ酸代謝異常症
著者: 青木菊麿1
所属機関: 1母子愛育総合母子保健センター
ページ範囲:P.188 - P.195
文献購入ページに移動 先天性アミノ酸代謝異常症は,分析技術の進歩に伴って新しい疾患が発見されてきた.フェニルケトン尿症が発見されたのは1932年であり,尿の塩化第二鉄試薬による簡単な呈色反応によるものであった.1940年代にペーパークロマトグラフィーが臨床に導入されてから多くのアミノ酸代謝異常症が確定されるようになり,次いで液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーが開発され,特に1951年Steine&Mooreの開発したアミノ酸自動分析計の普及によりアミノ酸代謝異常症の研究は画期的な発展をとげている.現在はさらに質量分析計による異常代謝産物の構造解明などに基づき,より詳細な研究がなされている.しかし日常臨床のアミノ酸代謝異常症の診断には必ずしも複雑な分析技術を必要とするものではなく,最初は定性的なスクリーニングの方法から開始し,次いでアミノ酸自動分析計などによる定性,定量へと検査を進めていくべきである.図1は現在知られている主なアミノ酸代謝異常症(転送障害症も含む)と血中および尿中に増加するアミノ酸やその他の異常代謝席物との関係を示したものである.本稿では主として尿と血液からアミノ酸およびその代謝産物を検出する方法について,スクリーニング的方法からアミノ酸自動分析計による分析にまで触れたいと思う.
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