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研究
Congo Red法を用いる網内系機能検査法についての実験的研究
著者: 清水一広1 田中修一1 半田武1 中沢照喜1 白石美津子1 長瀬英生1 田中美紀1 平澤博之2 佐藤博2
所属機関: 1扶桑薬品工業株式会社研究開発センター 2千葉大学医学部第2外科教室
ページ範囲:P.209 - P.212
文献購入ページに移動網内系(reticuloendothelial system)は貧食作用系の一端を形成し,細菌をはじめ内因性,外因性の毒素および微小血栓などの微細異物を貧食する機能を有することが知られている.すなわち網内系は血流のフィルターとして,血流によって運ばれてくるものを肝および脾などにおいて細胞内へ貧食し処理することにより生体防御機構として重要な役をはたしている,また肝は網内系の大部分を占める臓器であり,肝硬変および肝切除後には肝網内系機能が著明に低下し,この低下が術後における敗血症,成人型呼吸窮迫症候群(ARDS)の合併症の発生1),さらには多臓器不全発生の一つの因子であるとして最近注目を集めている2).
この網内系機能を検査する方法は従来から生体に主として網内系において処理されることが判明している異物を静脈注射し,異物の流血中からの消失を経時的に測定し,網内系への異物摂取状態を観察する方法が一般的に用いられている.この異物の投与法としては脂肪乳剤法3),鉄負荷法4),墨汁法5)およびCongo Red法6〜9)など多数10)あるがおのおのの方法には一長一短がある.たとえば微粒子を静脈注射する場合には微粒子の大きさおよび投与量が網内系機能を測定するうえにおいて重要な因子となり,また放射ラベルを行った物質を用いるときには施設,測定機器および安全性などに問題が生じる.
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