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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻3号

1985年03月発行

文献概要

今月の主題 アレルギー 総説

IgE;最近の進歩

著者: 冨岡玖夫1

所属機関: 1千葉大学医学部第2内科

ページ範囲:P.273 - P.280

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はじめに
 アレルギー反応やアレルギー性疾患の発症に重要な抗体であると考えられていたレアギン(reagin)は,1966年石坂らにより新しい免疫グロブリンクラスに属することが報告され,γEと命名された1).このとき,ほぼ同時(1967年)にスウェーデンで非定型的な骨髄腫蛋白が発見され,患者の名前のイニシャルをとってIgNDと呼ばれた2).二つの研究グループは骨髄腫蛋白や抗血清を交換して,互いに観察している蛋白質が同一のものであることを共同研究により確認した3).1968年,WHOにおいて会議が開かれた結果,レアギン活性の担い手としての免疫グロブリンは免疫グロブリンE (IgE)という名前に統一されて呼ばれることになった.IgE発見当時の石坂研究室のようすは,多田富雄教授の最近の総説に詳しく書かれている4).石坂先生の研究がJohanssonらの発見と異なるもっとも重要な点は,IgEをレアギンの生物学的活性を指標として発見したことであろう.この研究の根底にある思想は,その後の石坂先生の研究の流れをみれば理解できるし,IgEの発見によってIgEにかかわる生物学の未知の扉が次々に開かれていったのも,IgE発見当時の姿勢と思想とが貫かれているからでもあろう.事実,IgEにかかわる進歩はつねに石坂研究室を中心にして展開していると言って過言ではない.IgEに関する進歩は,①IgE抗体産生の調節機構の解明と,②IgE依存性アレルギー反応の機序の解明とに大きく分けてみることができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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