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モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリー解析におけるFACS cell sorterとFACS analyzerの比較検討
著者: 西川潔1 坂口泰弘1 鴻池義純1 三上理一郎1
所属機関: 1奈良県立医科大学第2内科
ページ範囲:P.333 - P.336
文献購入ページに移動Köhler,Milstein1)による細胞融合によるモノクローナル抗体産生法の確立以来,種々なモノクローナル抗体が作られ,最近ではヒト細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体が市販され,臨床研究に使用され始めている.また一方,測定機器についても,従来の蛍光顕微鏡に代わってフローサイトメトリーが開発され,モノクローナル抗体とフローサイトメトリーとを利用することにより,蛍光染色された細胞をより詳細に解析することが可能となってきた.FACS(fluorescence activated cell sorter)2)は,光源にレーザーを用いるフローサイトメトリーであり,レーザー光により強力な励起蛍光を得ることができ,細胞の表面蛍光を高感度で解析することができる.しかも,細胞表面蛍光の量または有無により細胞を分離することができる.この機械は,レーザー光を利用するため,装置が大型であり,また光軸の調整などに多少の熟練を要する.そこで,レーザー光源の代わりに水銀アークランプを用いて,解析だけを目的とし,操作が簡便で,しかもFACSと同程度の感度を得ることのできる装置として開発されたのが,FACS analyzerである.
現在,わが国において,数十台のFACSと,それに近い数のFACS analyzerが導入されており,種々な研究に利用されている.しかし,その両者を比較検討した成績はいまだみられない.今回われわれは,ヒトリンパ球サブセットの解析を中心に,二つの点,すなわち①ゲイト(gate)設定による単球除去効果の比較,②陽性%の比較,について検討を行った.
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