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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻7号

1985年07月発行

文献概要

今月の主題 悪性リンパ腫 総説

悪性リンパ腫とウィルス

著者: 渡辺俊樹12 吉田光昭1

所属機関: 1癌研究会癌研究所ウイルス腫瘍部 2現在東京大学医学部第4内科

ページ範囲:P.771 - P.777

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はじめに
 ヒトの悪性リンパ腫の中で,その病因としてウイルスの関与が考えられているものには,以前からEBウイルスとBurkittリンパ腫との関係が有名である.さらに最近では,高月らによって提唱された,西南日本に多発する成人T細胞白血病(ATL)が,ウイルスによって起こる白血病・リンパ腫として注目を浴びている.
 ではなぜ,とりわけこのATLとHTLV-Iとの関係が人々の関心をひくのであろうか.
 その理由の第一は,すでに,実験動物においてはウイルスが「癌」(広く悪性腫瘍一般を指す言葉として用いる)の原因となることが確立されているにもかかわらず,ヒトの「癌」でも同様のことが言えるのかどうかが確認されていなかったことによるものであろう.ウイルスがヒトの「癌」を起こすことが明らかになれば,化学発癌や放射線発癌のモデルに比較して,より直接的にヒトの「癌」における腫瘍化の機構の解析が可能になることが期待できるのである.また,これまで困難であった「癌」の予防を可能にし,さらにこれまでとは異なった,特異的な治療法をも可能にするかもしれないと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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