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文献詳細

雑誌文献

臨床検査29巻7号

1985年07月発行

文献概要

これからの臨床検査の動向・1【新連載】

臨床検査一般について

著者: 吉利和1

所属機関: 1浜松医科大学,東京大学

ページ範囲:P.793 - P.798

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医療の変貌
 医療は原始人からずつと受け継がれたものであるが,みたところではずいぶん変貌したように思える.しかし,いかに形とか現象などが変わったようにみえても,その中に,やはり「医療」として一本につながっているものが見いだされるようである.古代の洞窟生活者の頭蓋骨の化石にも,頭蓋に孔をあけて手術をしたと思われる跡が残っているとか,手足に加えた手術から,薬物療法まで,ずいぶん古い歴史を持っているらしい.
 医療の内容も,病人の苦痛の除去ないし緩和から始まり,その病苦の原因を除去するようなくふう,さらには,原因に対する科学的探究へと進み,初めは純然たる経験に基づいた治療しか無かった時代から,原因に対する考えかたが発展し,加持祈祷,呪術によって,原因の除去ないしそれへの拮抗ということが考えられた.経験技術としての医療から,経験科学による医療へと発展したが,そこから,医療の現場からやや独立した医学の体系が生まれてきた.医学は医療を出発点としながら,しだいにそれから独立したものをうち立てるに至った.医療も,医学という基盤の上に成り立つているということからやや外れて,独立した体系をうち立てるようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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