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研究
ヒト血清蛋白質の高分解能アガロースゲル等電点電気泳動法について;—分離と検出のための条件設定
著者: 一村光子1 唐下博子1 馬場巽2
所属機関: 1岡山大学医学部附属臨床検査技師学校 2岡山大学医学部附属病院中央検査部
ページ範囲:P.952 - P.956
文献購入ページに移動等電点電気泳動法は,両性担体を含有する支持体内で蛋白質固有のpIの差に基づく高分解能を有する分離方法として開発され,これまでポリアクリルアミドゲル(PAG)を支持体とした等電点電気泳動法が広く利用されている1).その後電気浸透のほとんど無い等電点電気泳動用アガロースが開発され,1979年Casarvis2)らはこの新しいアガロースを使用し,平板ゲル等電点電気泳動法を発表した.続いて等電点用アガロースが市販されるようになり,アガロースの優れた特質と簡便さの点からアガロース平板ゲル等電点電気泳動法の臨床検査への導入が期待されたが,泳動中一定以上電圧を上げると電気浸透が著しくなりpH勾配が乱れるため,PAGに比べ分離能が劣り良好な再現性が得られず,良い分離像を得るための泳動条件の設定が困難で,本泳動法の特質が生かされないまま進展していない.
このため著者らは,まず高分解能を有するヒト血清蛋白質の薄層アガロース平板ゲル等電点電気泳動法の条件を確立し,次いで本泳動法による血清蛋白分離像に及ぼすアルブミンの影響を調べるために,原血清およびアフィニティークロマトグラフィーで原血清からアルブミンを除去した血清を用いて泳動した場合の蛋白質像,特に免疫固定(immunofixation)像についての比較も行ったので報告する.
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