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文献詳細

雑誌文献

臨床検査3巻5号

1959年05月発行

文献概要

技術解説

尿,膿の細菌学的検査

著者: 高橋昭三1

所属機関: 1東京大学医学部細菌学教室

ページ範囲:P.271 - P.274

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I.尿の細菌検査
 尿は,無菌な液体である。これは腎臓で作られ,腎盂にあつまり,輸尿管をとおつて,膀胱にたまり,尿道から排出される。尿道口から出て,はじめて外気にふれ,空中その他の雑菌と接触する。尿の採取法には,カテーテルを膀胱に入れてとる方法と,排尿されたものを,滅菌容器(試験管,コツプ等)にうける方法の2つがある。外気即ち雑菌にふれずに取る事ののぞましいのは,腎盂,腎臓,膀胱に細菌感染があるかどうかをしらべたい場合であるが,カテーテルを入れる事は,1つの刺激ともなるので,膀胱,尿道の感染のある場合は行わず,専ら排尿された材料による。又雑菌の混入が問題となる場合でも,結核菌感染の時以外は,証明される病原菌の量が甚だ多いのが普通で,それに比べれば,材料に含まれやすい雑菌の量は,0.1%以下なるであろう。したがつて,多くの場合,排出された尿を用いた検査で充分な事が多い。しかし,女子の尿については,とかくグラム陰性,陽性の桿菌の混入の避けられない事が多いため,時にはカテーテル尿でなければ検査の結果に疑問の生ずる場合が生ずる。この場合でも,培養された菌の数の最も多いものの事を考えれば,大抵の場合は間に合うはずである。即ち,尿1エーゼから,雑菌混入のために生ずる集落は,たかだか数個にすぎないであろう。
 患者には,なるべく空中雑菌を,とつた尿に入らせないように,注意を与えておかねばならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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