臨床検査3巻6号

1959年06月発行

〈検査室メモ〉

臨床生化学メモ（VI）—蛋白代謝（2）

著者： 茂手木皓喜¹

所属機関： ¹東大附属病院中央検査部生化学検査室

ページ範囲：P.345 - P.347

I．血液中非蛋白窒素（nonprotein Nitrogen, NPN）
　これは血液中の蛋白質以外で窒素を含む成分の総称である。尿素，尿酸，アンモニア，アミノ酸，クレアチン，クレアチニン，プリン体，その他不明の窒素化合物である。之等のものは蛋白質の分解産物乃至は中間産物であつて，血中における之等成分の意義はむしろ血漿蛋白質のもつ意義よりも臨床上に重要なことが多い。正常では血液中に27〜40mg／dl，血清中には18〜30mg／dlである。
　之等非蛋白窒素成分は蛋白質（食物や体組織）の終末産物として腎から尿中に排泄される。腎に排泄障害がおこると之等の成分が血液中に蓄積される。また腸管が大量の蛋白分解産物を吸収したり，体蛋白の崩壊の多いときなどにも血液中に増加してくる。300〜400mg／dlにも達することがある。