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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻11号

1986年11月発行

文献概要

特集 先端技術と臨床検査 Ⅰ画像診断

6電磁図—1脳磁図

著者: 上野照剛1

所属機関: 1九州大学工学部電子工学科

ページ範囲:P.1209 - P.1213

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●はじめに
 脳の電気活動に伴う脳内イオン電流は脳波を生成すると同時に,非常に微弱ながらも磁場を頭のまわりに誘起させる.これを高感度磁気センサーで測定したものが,magnetoencephalogram(MEG)である.MEGは脳磁場,脳磁界,あるいは脳磁図とも呼ばれ,まだ統一した呼び名は定着していないが,ここでは脳磁図ということにしよう.
 磁場の大きさを表わすのに,単位面積を貫く磁束の数,すなわち磁束密度Bを用いる.単位はT(テスラ)で1T=1Wb/m2(Wb;ウェーバー)である.地磁気が0.5×10−4T,都市の磁気雑音が0.2×10−6T程度であるのに対して,脳磁図は10−12T=1p(ピコテスラ)のオーダー,誘発脳磁図はさらに1桁小さい0.1pTのオーダーである.私たちのまわりの空間のノイズレベルの百万分の1以下の弱い磁気信号を検出するのはそんなに容易なことではないが,1968年Cohenが加算平均で初めてアルファ波の磁場の検出に成功し1),さらに,1972年CohenがMITの磁気シールドルームで,Zimmermanが試作したSQUID磁束計(superconductingquantum interference device)によって加算平均することなく自発脳磁図を測定することに成功した2).これを契機として世界数十か所の研究機関で生体磁気計測の研究が行われるようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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