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特集 先端技術と臨床検査 Ⅱ顕微鏡
1超音波顕微鏡
著者: 田中元直1 大川井宏明1
所属機関: 1東北大学抗酸菌病研究所電子医学部門
ページ範囲:P.1226 - P.1232
文献購入ページに移動●はじめに
光学顕微鏡(以下,光顕と呼ぶ)や電子顕微鏡(以下,電顕と呼ぶ)の発展は,組織構造など微視的世界の観察を可能にし,今日の医学・生物学の発展に大きく寄与している.ところが,光顕は不透明な試料についてはその表面の観察にしか適用できず,電顕もまた数A(オングストローム)という優れた分解能をもつが,試料は厚み数百Åの切片に加工しない限りやはり表面の観察にしか使えない.しかも,真空状態にする必要があるために対象はこの条件に耐える試料に限られている.そのうえ,これらの方法は試料構造を微視的レベルで観測することには極めて優れているが,形態と質,あるいは機能との関連や物性の定量計測という面では十分とはいえない.
このような光顕や電顕で不得意とする観測分野をカバーし,生物組織について今なお不明な点を解明していくための手段として,超音波顕微鏡の開発が図られるに至った.ここでは,このような新しい生物組織の観測法としての超音波顕微鏡について,歴史的背景,現状および医学的有用性について述べる.
光学顕微鏡(以下,光顕と呼ぶ)や電子顕微鏡(以下,電顕と呼ぶ)の発展は,組織構造など微視的世界の観察を可能にし,今日の医学・生物学の発展に大きく寄与している.ところが,光顕は不透明な試料についてはその表面の観察にしか適用できず,電顕もまた数A(オングストローム)という優れた分解能をもつが,試料は厚み数百Åの切片に加工しない限りやはり表面の観察にしか使えない.しかも,真空状態にする必要があるために対象はこの条件に耐える試料に限られている.そのうえ,これらの方法は試料構造を微視的レベルで観測することには極めて優れているが,形態と質,あるいは機能との関連や物性の定量計測という面では十分とはいえない.
このような光顕や電顕で不得意とする観測分野をカバーし,生物組織について今なお不明な点を解明していくための手段として,超音波顕微鏡の開発が図られるに至った.ここでは,このような新しい生物組織の観測法としての超音波顕微鏡について,歴史的背景,現状および医学的有用性について述べる.
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