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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻11号

1986年11月発行

文献概要

特集 先端技術と臨床検査 Ⅱ顕微鏡

3電子顕微鏡—3標識レクチン結合体による糖鎖の電顕的観察

著者: 森山信男1 新島端夫1

所属機関: 1東京大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.1251 - P.1255

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●はじめに
 レクチンは「選択する」というラテン語に由来しており,もともとは赤血球を区別することができる凝集素に対してつけられた名称である1,2).現在では広く特定の糖に対して特異的に結合する糖結合蛋白質の総称として用いられている.最初に発見されたレクチンはヒマ(Ricinus communis)から1888年にStillmarkによって抽出されたリシンである.これはヒトおよび他の動物の赤血球を凝集させることが報告された3).以後,数多くのレクチンが分離精製されている.
 レクチンはマメ科植物の種子から抽出精製されるものが多いが,細菌やウイルス,さらに動物からも分離精製されている4).レクチンは特定の糖残基を化学的に変化させずに,これらと結合しうる.また個々のレクチンに対する特定の糖結合部(レクチンレセプター)はハプテン阻害法によって確定されている.多くのレクチンは複数の単糖類と反応を行う.一般にレクチンは複合糖質の糖鎖末端の糖残基とのみ結合すると考えられているが,糖鎖内部の糖残基とも結合しうるものもある4〜6).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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