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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻11号

1986年11月発行

文献概要

特集 先端技術と臨床検査 Ⅷ血液

1赤血球粒度分布曲線および分布幅の測定とその意義

著者: 新谷和夫1

所属機関: 1関東逓信病院附属医用情報研究所血液研究部

ページ範囲:P.1376 - P.1381

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●血球容積測定の歴史
 自動血球計数器(カウンター)が実用化されて約30年の歴史を経るが,開発当初の赤血球数だけ,あるいは白血球数だけをスイッチの切替えで行っていた基本型に続いて多頂目型カウンターが開発されると,測定項目はヘモグロビン(Hb),ヘマトクリット(Ht),Wintrobe恒数,血小板数と順次増加の傾向を示し,現在では検体を吸引すると短時間で多いものでは20項目を超えるデータがプリントアウトされるに至っている.増加した測定項目について検討してみると,Hb測定以外はすべて根底に血球容積測定技術の進歩があることがわかる.
 カウンター開発当初のMatternら1)の文献を見ると,赤血球計数時のオシログラフ上の波高を解析するとPrice-Jones曲線(P-J曲線)類似の分布図が得られることが示され,カウンターが単に血球数を算定するだけでなく,容積測定の可能性をもつことが明示されている(図1).しかし,これは同時に作成したP-J曲線と比較すると右に尾を引いた,いわゆる正の歪みを示すものであった.この歪みがカウンターによる測定誤差によるものか,あるいはP-J曲線では知りえなかった新しい事実を示すものかが判明するまでは,直ちに臨床応用という運びにならなかったのは当然のことであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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