文献詳細
文献概要
特集 先端技術と臨床検査 Ⅸ染色体
1染色体分析の現状と展望
著者: 阿部周一1
所属機関: 1北海道大学理学部附属動物染色体研究施設
ページ範囲:P.1390 - P.1399
文献購入ページに移動●はじめに
TjioとLevan (1956)1)がヒトの染色体数は2n=46と最初に報告して長い間の論争(2n=47または48)に終止符を打ち,現在のヒト細胞遺伝学研究の端緒を開いてから今年で30年になる.この間,空気乾燥法や血液培養法の導入など染色体標本作製技術の進歩により,ヒトの染色体研究は大きく発展してきた.特に,1970年代以降主に考案された種々の染色体分染法は染色体分析の精度を飛躍的に向上させ,遺伝子のマッピング,先天異常や悪性腫瘍における特異的染色体異常と臨床所見の関連の解明など,医学,生物学の分野に多大な成果をもたらした.
本項では,まずこの分染法を含めた染色体分析技術を主に解説し,さらに分染法を応用したヒトの染色体研究の現状と今後を臨床検査の立場を踏まえつつ展望してみたい.
TjioとLevan (1956)1)がヒトの染色体数は2n=46と最初に報告して長い間の論争(2n=47または48)に終止符を打ち,現在のヒト細胞遺伝学研究の端緒を開いてから今年で30年になる.この間,空気乾燥法や血液培養法の導入など染色体標本作製技術の進歩により,ヒトの染色体研究は大きく発展してきた.特に,1970年代以降主に考案された種々の染色体分染法は染色体分析の精度を飛躍的に向上させ,遺伝子のマッピング,先天異常や悪性腫瘍における特異的染色体異常と臨床所見の関連の解明など,医学,生物学の分野に多大な成果をもたらした.
本項では,まずこの分染法を含めた染色体分析技術を主に解説し,さらに分染法を応用したヒトの染色体研究の現状と今後を臨床検査の立場を踏まえつつ展望してみたい.
掲載誌情報