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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻11号

1986年11月発行

文献概要

特集 先端技術と臨床検査 Ⅸ染色体

2初期絨毛による胎児染色体分析法

著者: 林研1 菊地清2

所属機関: 1京都大学医学部婦人科学産科学教室 2京都大学学部小児科学教室

ページ範囲:P.1400 - P.1405

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●はじめに
 診断技術の進歩は産婦人科領域でも非常に目覚ましく,多くの新技術が開発・導入され,日常診療上重要な役割を果たしている.胎児診断のための絨毛採取法(chorionic villi sampling;CVS)も,最近注目されている新技術の一つである1,2).これは妊娠初期に胎児の種々な遺伝疾患を診断する目的で,妊娠8〜11週前後に経頸管的あるいは経腹的に絨毛の一部を採取する純然たる産婦人科的手法である.
 従来からの羊水細胞を用いた胎児診断法は,羊水穿刺による合併症もほとんどなく診断も正確であることから,15年以上にわたり広く臨床応用されているが3,4),最大の問題は妊娠17週以前に診断を下すことができない点である,そのため遺伝的リスクのある夫婦は長期間にわたり不安に悩まねばならず,また万一結果に異常が認められ,人工妊娠中絶を余儀なく選ばねばならない場合には,妊婦の多くがすでに胎動を自覚しているだけにその精神的苦痛は測り知れない.したがって,より早期に診断がつけられるよう種々の技術的改良や新しい胎児診断法の開発に努力が注がれてきた5).そのような背景のもとに,CVSによる出生前診断法が開発されたのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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