icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻11号

1986年11月発行

文献概要

特集 先端技術と臨床検査 Ⅹ微生物

1微生物同定検査法の新しい試み—1蛍光抗体法のウイルス感染症診断への応用

著者: 倉田毅1 佐多徹太郎1 佐藤由子1

所属機関: 1国立予防衛生研究所病理部

ページ範囲:P.1414 - P.1420

文献購入ページに移動
●はじめに
 蛍光抗体法(fluorescent antibody technique;FAT)とは,抗体に蛍光色素を標識しておき,その抗体と特異的に結合(反応)する抗原を細胞や組織内に検出しようとする方法である.免疫蛍光法(immunoflurescence=immunofluorescent technique)ともいう.紫外線に照射させることにより蛍光色素が緑または赤の蛍光を発するのを利用して,蛍光顕微鏡下で抗原抗体結合物の存在を見るものである.反応の特異性と感度の両点で極めて優れており,かつ操作が容易であるので,応用しうる領域は広い.
 特異性の高い抗体があれば,ウイルス抗原に限らず,細菌,真菌,ホルモン,その他の抗原物質の検出(分布,消長を含む)に広く応用が可能である.また原因のわからない疾患で,患者血清を用いて,既知の抗原を当たる(抗体の検出)ことも広く行われるようになってきている.ウイルス感染症については,日常診断上のみならず,研究上においても欠かせない方法となっている1).抗原抗体反応の形態学への応用という点では,近年,酵素抗体法が急速に発展してきている2).この酵素(horseradish peroxidaseが主),あるいはフェリチンを標識することにより光顕から電顕まで応用ができる.これらのうちではFATが最もよく検討されており,簡便さもあり,抗原検出などに際しては最も信頼がおける.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?