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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻11号

1986年11月発行

文献概要

特集 先端技術と臨床検査 Ⅹ微生物

2腸内フローラ研究の流れ

著者: 光岡知足1

所属機関: 1東京大学農学部実験動物学教室

ページ範囲:P.1441 - P.1447

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●腸内フローラの生態学的研究
 腸内フローラの研究は,Robert Kochによって細菌の純粋培養の開発された19世紀後半,Escherichによる乳児の糞便からの大腸菌(Escherichia coli)の分離によって始められたが,その研究は主として大腸菌,腸球菌などの好気性菌に限られていた.1899年,Pasteur研究所のTissierは母乳栄養児の糞便から嫌気性乳酸菌の一種,ビフィズス菌(Bifidobacterium)を分離し,これをきっかけとして,乳児栄養と腸内フローラの研究が小児科領域でにわかに活発となり,その翌年,オーストリアの小児科医Moroは,アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)を発見し,ここに,2種類の重要な腸内乳酸菌が早くも出そろった(図1).
 1935年,EggerthとGagnonは,成人の腸内からBacteroidesやEubacteriumなどの嫌気性菌が分離されることを報告したが,それまでの大腸菌が腸内優勢菌であるという考えかたは根強く,この新知見は,それから20年間も顧みられず終わってしまった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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