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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻11号

1986年11月発行

文献概要

特集 先端技術と臨床検査 Ⅹ微生物

3AIDSとそのウイルス学的検査法

著者: 栗村敬1

所属機関: 1鳥取大学医学部ウイルス学教室

ページ範囲:P.1448 - P.1451

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●はじめに
 1970年代の後半からアメリカにおいて広がり始め,1981年にその存在が報告されたAIDS(acquired immunodeficiency syndromeの中でLAV/HTLV-III感染により惹起されるもの)は1983年になってMontagnierら1)により原因ウイルスが発見され,さらに翌年にGalloら2),Levyら3)によりウイルスが分離されることになって,一挙にウイルス学的検査の対象として考えることができるようになった.
 まずウイルス学的検査法の意義を理解するうえで簡単に,AIDSの原因ウイルスであるLAV/HTLV-IIIについて説明を加えておく.LAV/HTLV-IIIはレトロウイルス科に属している.レトロウイルスの特徴はRNA型ウイルスではあるが,逆転写酵素(reversetranscriptase)により逆転写が行われてcDNAが産生される.このDNAは子孫ウイルスの複製に必要であると同時に,一部は宿主DNAに組み込まれることになる.したがって,一度生体においてLAV/HTLV-IIIの感染が成立すると,その個体には一生ウイルスが持続して感染状態を成立させることになる.一般に抗体保有者がウイルスキャリアとみなされる理由はここにある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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