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シリーズ・微量元素の検出法・6
組織中微量金属の染色法
著者: 鷲見和1 増田紀子1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学第一解剖学教室
ページ範囲:P.1677 - P.1680
文献購入ページに移動 組織化学は19世紀のなかばに組織中の微量金属の局在を調べる研究で始まったが,まもなく研究の中心は酵素や糖質に移ってしまい,そのまま現在に至っている.しかし,最近になって生体が機能を維持するうえでの微量金属の役割や重金属による健康障害などが明らかになるにつれて,再び微量金属の組織化学は多くの研究者から注目されるようになってきた.
組織化学の目的は生体の組織構造と局在する物質の位置的関連性を調べることにある.したがって組織構造と物質は生体が活動していたときと同じ状態を保つようにしなければならないという制約がある.このような制約のもとで組織切片中に含まれる微量金属と試薬とを反応させて発色し,ミクロのレベルでその局在を調べることになる.これまで金属の組織化学に使われてきた試薬の多くは,分析化学の分野で金属の比色分析用の試薬として使われていたものがそのまま染色剤として使われてきた.しかし現在ではどのような化学構造を持つ試薬が染色に適しているかの観点から新しい研究が始まっている.現在まで多くの染色法が開発されてきたが大別すると①硫化銀法,②錯塩形成法(キレート法),③触媒法に分類できる.硫化銀法については多くの成書に紹介されているので割愛し,残る二つの方法について光顕レベルの染色法に限定して紹介する.
組織化学の目的は生体の組織構造と局在する物質の位置的関連性を調べることにある.したがって組織構造と物質は生体が活動していたときと同じ状態を保つようにしなければならないという制約がある.このような制約のもとで組織切片中に含まれる微量金属と試薬とを反応させて発色し,ミクロのレベルでその局在を調べることになる.これまで金属の組織化学に使われてきた試薬の多くは,分析化学の分野で金属の比色分析用の試薬として使われていたものがそのまま染色剤として使われてきた.しかし現在ではどのような化学構造を持つ試薬が染色に適しているかの観点から新しい研究が始まっている.現在まで多くの染色法が開発されてきたが大別すると①硫化銀法,②錯塩形成法(キレート法),③触媒法に分類できる.硫化銀法については多くの成書に紹介されているので割愛し,残る二つの方法について光顕レベルの染色法に限定して紹介する.
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