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文献詳細

雑誌文献

臨床検査30巻4号

1986年04月発行

文献概要

今月の主題 ヘモグロビン異常 カラーグラフ

ヘモグロビンの電気泳動

著者: 網美代子1 宮地隆興2

所属機関: 1山口大学医学部附属病院検査部 2山口大学医学部臨床検査医学教室

ページ範囲:P.326 - P.328

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 電気泳動によるヘモグロビンの分離は異常ヘモグロビンの検索を目的に行われる.構造異常に基づく変異ヘモグロビンは,アミノ酸配列上の1個のアミノ酸が置換して生じたものであり,置換アミノ酸の電気的荷電差をそのまま,あるいは置換が惹起する立体構造の歪みによるヘモグロビン分子全体の電気的荷電差となって正常ヘモグロビンから分離される.荷電は置換アミノ酸の種類と位置により異なり,それらの荷電差を微妙に反映してさまざまな分離像を示す.臨床的にもアミノ酸置換により生ずるヘモグロビン分子構造の変化は生体への影響も無害なもの,重症な溶血性貧血,チアノーゼ,多血症など多様な症状を現す.現在,日本では臨床症状を伴うもの32種,その他約75種が同定されている.これらの大半は電気泳動によって分離される.またヘモグロビン分子のサブユニットの合成の不均衡に起因するサラセミア症の診断にも電気泳動は応用される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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